主張

冤罪・狭山事件・無実の獄55ヵ年糾弾!



 1963年5月に埼玉県狭山市で発生した女子高校生誘拐殺害事件・狭山事件において、石川一雄さんが不当逮捕され殺人犯にデッチあげられてから55年が経過する。

 逮捕当時24歳であった石川さんは現在79歳。無実の獄55年、第三次再審こそ「最後の裁判」との決意で全国各地で無実・再審開始を訴え続けている。無実を示す多くの証拠が明らかにされながら、事実調べも行なわれず、再審が開始されない裁判を絶対に許すことはできない。不当逮捕55ヵ年糾弾・石川無実・再審開始の声を東京各地・職場から巻き起こし、第三次再審で何としても再審開始決定を勝ち取ろう。

確定判決の主軸は完全崩壊

 弁護団は第三次再審請求段階で、197点におよぶ石川さんの無実を証明する新証拠を裁判所に提出し、確定判決を突き崩している。

 確定判決では「脅迫状の筆跡が石川さんの筆跡であること」を有罪証拠の主軸としている。再審請求を棄却したこれまでの裁判所の決定は筆跡の相違を認めながら「字は書くたびに違う」として筆跡の違いをごまかしてきた。しかし、開示された取調べ録音テープの石川さんが筆記している場面を分析した森鑑定や魚住第3鑑定は当時の石川さんが差別によって文字を奪われた非識字者であり、脅迫状を書けるはずがないことを証明している。

 2016年8月に出された下山鑑定は、石川さんの家から発見された被害者のものと裁判で認定された万年筆には被害者が事件直前まで使っていたインクが入っていなかったこと、他のインクの混在がなかったことを検証し、発見万年筆は被害者のものではなく、偽物であることを証明した。殺害後に被害者の万年筆を持ち帰りカモイに置いたという自白が虚偽であることを示すだけでなく、発見経過からも疑惑が指摘されてきた万年筆捜査の不正、証拠ねつ造までもが暴かれた。

 さらに証拠の万年筆のペン先は「細字」であるが、被害者の万年筆で書かれたとされる脅迫状の訂正箇所は「中字」のペン先であることを万年筆の専門家の川窪鑑定人が証明し、発見万年筆は被害者のものではなく、脅迫状の訂正に使われたものでもない、事件とまったく関係のない証拠物であることを明らかにした。

 今年1月に提出された福江報告書は、最新の科学的筆跡鑑定で、「脅迫状は、99・9%の識別精度で別人が書いたものと判定するのが合理的」と結論づけ、有罪判決の決め手の証拠となった脅迫状は石川さんが書いたものではないことを証明した。

 数々の筆跡鑑定、識字能力鑑定、心理学鑑定などによって確定有罪判決事由の主軸は完全に崩壊している。

全ての証拠開示、事実調べの即刻実施、再審開始決定を

 新事実の発見は、すべて証拠開示から始まっている。真実を明らかにするためには何よりも証拠の開示が必要だ。しかし、検察官は弁護団が求める重要証拠の開示について「関連性がない」「必要がない」「不見当」などとかたくなに拒み続けている。検察官の証拠隠し、事実調べを一度も行わない裁判を絶対に許してはならない。あいつぐ再審無罪、再審開始決定の教訓は検察官手持ちの証拠開示と事実調べの実施である。全証拠の開示を検察官に強く要求し、東京高裁・後藤眞理子裁判長に対して、検察官への証拠開示勧告の発令と現場検証をはじめとする証人・鑑定人尋問などの事実調べの即刻実施を強く求めていこう。

 第三次再審段階だけでも197点におよぶ新証拠が出され、確定判決に明白な疑いが生じ、証拠の偽造・ねつ造までが明らかとなっている。今こそ、後藤裁判長は再審制度の理念、刑事裁判の鉄則を遵守し、再審を開始すべきである。証拠開示・事実調べ実施を求める世論によって再審の扉を打ち破ろう。

 狭山第三次再審の闘いは最大の正念場を迎えている。東京都連のすべての同盟員は、55年におよぶ石川一雄さんの無実の叫びに応え、「狭山の勝利なくして、部落の解放なし」を合言葉に東京各地から再審の門を打ち破る風を巻き起こしていこう。すべての闘う仲間、支援者、都民の皆さん、5月23日に日比谷野外音楽堂で開催される「不当逮捕55ヵ年糾弾! 5・23狭山市民集会」を成功させ、再審開始へ共に突き進もう!

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