主張

冤罪53年!最大の正念場
証拠開示・事実調べを求める世論を



 部落差別にもとづく冤罪事件である狭山事件は、今年5月1日で事件発生から53年が経過した。2006年5月、再審開始を求めて東京高裁に第三次再審請求を申し立て、すでに10年、不当な有罪確定判決から41年が経過している。殺人犯として24歳で獄につながれてしまった石川一雄さんは、77歳になってしまった。被差別部落に対する差別意識、予断と偏見が最大限に利用され、犯人にでっち上げられた石川さんは、半世紀以上も無実を叫び続けている。

 開示された証拠185点、無実を示す新証拠182点

 裁判長、検察官、弁護団による三者協議が現在までに27回行われ、185点の証拠を開示させてきた。開示された証拠から無実を示す新証拠が次々と発見されている。狭山弁護団は開示された証拠の科学的分析・鑑定・検証により、182点におよぶ新証拠を裁判所に提出してきた。これにより41年前の確定有罪判決(東京高裁・寺尾正二裁判長)は崩壊の一途をたどり、確定判決の誤りと石川さんの自白の疑問や警察による証拠のねつ造が明らかになっている。

 徹底した証拠開示と事実調べ即刻実施を

 昨年1月、検察官は高検が保管する物的証拠の領置票(証拠リスト)を開示した。弁護団は、「証拠リスト」で明らかになった未開時の証拠物について、具体的に必要性を示して開示を求め、有罪判決の根拠とされる重要な証拠の開示を求めている。しかし、検察官は「不見当(見当たらない)」、あるいは「必要性がない」などとして不誠実な姿勢を取り続けている。東京高検以外にも地元県警や地検にまだ隠されている証拠が膨大にあることは明らかだ。「全証拠のリスト」の開示が必要である。検察官が再審との関連性や審理に関わる必要性を判断するなどということは許されるものではない。

 私たちは、東京高等検察庁に対して、供述調書や捜査報告書類なども含めた「全証拠のリスト」の開示、すべての証拠の開示を強く求めていかなければならない。また、東京高裁・植村裁判長が、検察官に対して「すべての証拠のリスト」および「すべての証拠」の開示を勧告することを求める。

 再審制度の理念と相次ぐ 冤罪事件を教訓にし、狭山事件の再審開始を

 確定判決に合理的疑いが生じている以上、事実調べを即刻実施することを強く訴える。また、刑事訴訟法は再審の目的を「無辜の救済」と定めている。裁判所の責務も、公正・公平な審理を尽くすことであって、決して「誤った確定判決」を維持することではないはずだ。

 東京高裁・植村裁判長に対して、再審制度の理念と相次ぐ冤罪の教訓をふまえ、検察官に対して、狭山事件に関する「すべての証拠のリスト」および「すべての証拠」の開示勧告をすること、証人・鑑定人尋問や現場検証、新証拠に対する事実調べを一刻も早く行うべきである。

 5・24「狭山市民集会」へ!

 狭山第三次再審が最大の正念場を迎えている中、来る5月24日、日比谷野外音楽堂において、「狭山事件の再審を求める市民集会」が開催される。多くの都民が参加されることを呼びかける。今こそ「部落差別にもとづく冤罪・狭山事件53年」を大きくアピールし、石川一雄さんにめられている「見えない手錠」を一日も早くはずすために、徹底した証拠開示と事実調べ即刻実施・再審開始を求める声を地域・職場において巻き起こそう。

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