第9回部落問題東京講座が5月29日・30日・31日の3日間にわたって開催され、82名が受講した。主催は、(公社)東京部落解放研究所。
本講座は、企業や行政、または地域の中での部落問題研修の講師や「人権担当者」を対象に部落問題に特化した講師養成の性格を有し、部落問題研修の形骸化を防ぐため、東京の部落の「地域性」と「当事者性」を重視する。本年度はコロナ禍が明け3年ぶりの会場開催となった。
開講にあたり、長谷川三郎理事長が主催者挨拶を行ない、司会を押田五郎理事が務めた。
第1講は「東京の部落問題と差別を許さない社会づくり」と題して近藤登志一常任理事が、東京の部落の近代から現代における差別の実態と産業、闘いの歴史、インターネット上における差別事件の深刻さ、法整備の必要性などを講義された。
第2講は「差別事件と差別を許さない社会づくり」と題して藤本忠義理事が自身の関わった40年に及ぶ東京の部落差別事件について講義され、差別や偏見をなくすため当事者の視点に立った研修の必要性を訴えられた。
第3講 は「統一応募用紙50年就職差別との闘いの歴史」と題して松浦利貞理事が、就職差別が当たり前の時代から全国高等学校統一応募用紙が作られ、その後50年に及ぶ闘いの歴史と変遷を報告し、統一用紙の意味や精神を学ぶことの重要性を話された。
第4講 は「東京の部落史を学ぶ」と題して東日本部落解放研究所事務局長の鳥山 洋さんが、弾左衛門役所の下、被差別民の担った江戸における役割等について最新の歴史研究に基づき講義された。
第5講は台東・墨田・品川の3箇所に別れてフィールドワークを行ない、受講者からは当事者の話を実際に聞き、部落差別の問題を自身に引き付けてより深く考えることができた等の感想が寄せられた。