「誇りをもって働いてきた」と、『ごみ清掃のお仕事』の著者押田五郎さんは語っている。清掃の現場で働く人たちは、「街がきれいになり、環境が守られること」に責任と喜びを感じてきたと。
本書の内容、広がりと深さは大人にも再読必須。だが、平易なことばと写真とイラストで、小学高学年の子どもたちに向けて、「ごみ」収集作業、清掃工場や再資源化の仕組を理解できるよう工夫されている。
だから、子どもにも大人にも、押田さんが清掃作業員として働き始めた50年ほど前は、歴史的な職業・身分差別とも関わる、「ごみ清掃」「し尿処理」の仕事・清掃作業員への蔑視、ひどい差別があり、家庭の中でも「名のれない仕事」だったということ、なお続く職業差別、部落差別と闘うために仲間たちと声をあげ協働し、組合運動を通して行政に働きかけ、安全教育もない危険の多い労働環境を改善し、またインド・ミャンマー・韓国等他の国の仲間たちと連帯してきたということ、そうして押田さんたちは自らの「誇り」を培ってきたのだということが、まっすぐに届くだろう。
●シリーズお仕事探検隊
「ごみ清掃のお仕事」
著者 押田 五郎
発行 解放出版社
定価 1980円(税込)