「包括的差別禁止法案」を公表
「差別禁止法研究会」公開研究会



 「差別禁止法研究会」公開研究会が3月13日オンラインで開催され全国から約100名が参加した。主催は(一社)部落解放・人権研究所。今回の公開研究会は2013年に部落解放・人権研究所に「差別禁止法研究会」を発足してから9年間研究が進められ「包括的差別禁止法案」がまとめられ公開論議を呼びかけたもの。

 公開研究会では、差別禁止法研究会代表の内田博文・九州大学名誉教授から「包括的差別禁止法案」の概要が報告された。

 「法案」概要の第1は、法案の名称を「すべての人の無差別平等の実現に関する法律案」としたこと。

 第2は、人種差別撤廃条約の差別の定義を参考にしつつ加差別の行為規制に焦点を当てて差別を定義した。また、間接差別、関連差別、複合差別、合理的配慮の否定、ハラスメントも差別に含まれることを明記した。

 第3は、「差別をしてはならない」と差別禁止条項を設けた。なお、差別禁止の実効性を担保するために罰則の使用も検討されなければならないが、罰則には副作用、マイナス面もありさらに検討していくとした。

 第4は、差別を解消していくための措置として「相談体制の充実」「教育啓発の実施」「差別に係る実態調査」「情報の収集、整理および提供」「地方公共団体の条例による施策の上乗せ等」を明記した。

 第5は、差別や人権侵害の訴えを受け止め、これを調査し、被害者を救済するとともに是正措置を講じる国家機関として人権委員会を設置する。人権委員会は「国内機構の地位に関する原則(パリ原則)」にそったものとするとした。

 第6は、当事者主権、当事者参加の原則を置いた。

 法案は、以上のような特徴を持っている。また重要なことは、本「研究会」が「被差別マイノリティの当事者性と連帯」を大切にしていることだ。

「包括的差別禁止法案」は、(一社)部落解放・人権研究所のホームページでも公開している。「包括的差別禁止法」制定に向けた議論を活発化していこう。

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