国際基準の反差別法と政策が必要
 2022年解放セミナー



2022年解放セミナー

 部落差別撤廃と東京の部落解放運動の前進を目的に、東京都連合会と東京部落解放研究所の共催で3月27日、2022年解放セミナーを浅草橋区民館を主会場にオンライン併用で行ない46人が参加した。

 はじめに、主催者挨拶を長谷川三郎同研究所理事長が行なった。

 講演①は、「差別禁止法制定に向けた課題」と題して前田朗さん(朝鮮大学法律学科講師)にご講演いただいた。はじめに、差別が多様化され増加し被害が深刻化していることが報告され、国際基準の反差別の法と政策の必要性が訴えられた。また、民主主義とレイシズムは両立しないため、民主主義の根幹である表現の自由を守るには、ヘイト・スピーチなどの差別を処罰することが国際的に主流とされると話された。

 講演②は「東京の水平社運動史について」と題して、大串夏身さん(昭和女子大学名誉教授)にご講演いただき、全国水平社、東京水平社創立からの活動内容などが報告された。また、全国水平社は、運動の中での議論を通して、部落差別、被差別部落は、単なる封建的な遺制に基づくものではなく、近代社会の中で、差別が再編されたという重層的な「社会的身分」という存在だということを明らかにした。戦後の新憲法の議論の中で憲法の基本的人権の条文の中に「社会的身分」が明記され、その憲法の規定を受けて、差別の解消のための様々な施策が取られるべきこと等の政府答弁を引き出した。1946年7月の衆議院帝国憲法改正案委員会において、当時の法務大臣は「部落民を侮辱するような言動があった場合には、侮辱罪として犯罪を講成するものと考えている。部落民に對する平等の取扱、差別ない日本の同胞として取扱うことについては、政府として、将来十二分の処置を執りたい」との答弁を得たことなどが紹介された。

 おわりに、松浦利貞同研究所副理事長がまとめを行ない閉会した。

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