コロナ差別と人権侵害が深刻化
部落解放研究第54回全国集会



 部落解放研究第54回全国集会が11月9日~30日の期間で録画配信にて開催された。本来であれば福岡県北九州市の現地会場での開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況をふまえ、開催方法を録画配信に変更しての開催となった。

 集会テーマは「コロナ禍で深刻化する差別・貧困・格差を克服し、人権と平和、民主主義、環境の確立をめざす協働の取り組みをすすめ、部落解放運動を大きく前進させよう」。主催は、部落解放研究第54回全国集会中央実行委員会。

 全体集会では、主催者挨拶を組坂・中央委員長が行ない「インターネット上の差別情報の氾濫が問題となっており、特に鳥取ループの問題などがある。裁判闘争によって一応の勝訴はしたものの、判決内容からは裁判官の部落問題に対する理解が十分でないということが読み取れる。控訴し、完全な勝利を目指していく。狭山第3次再審闘争は来年さらに大きく動き出すだろう。石川さん夫妻・弁護団と共に闘っていく。また、部落差別解消推進法を具体化していくためにも各自治体による条例の制定なども必要だ」と話された。続いて、服部・福岡県知事、北橋・北九州市長から来賓あいさつがあった。

 記念講演では、「新型コロナウイルス問題と人権」と題して奥田・近畿大学名誉教授が講演を行ない「コロナに関わる差別と人権侵害が重大な状況に陥っている。感染者に対する排除、制限、侮辱やそれを扇動する言動または書き込みなどを行なう直接差別。感染者の家族や医療従事者など感染者と関わる人々への間接差別が起こっていることが新型コロナウイルス問題の実像だ。東日本大震災による福島差別やHIV問題が想起される。コロナ差別を創り出したのはウイルスではなく人間であり、差別によって新型コロナ問題の解決が遅れている。2年前には影も形も存在しなかったコロナ差別が急速に広がっている。部落差別などの人権問題と同様に社会問題として解決に向けた取り組みが求められる。差別問題に中立はなく、すべての市民の意識と行動が問われている」ことなどが話された。

 続いて、石川一雄さん、早智子さん、中北・狭山事件再審弁護団事務局長が狭山事件の再審実現に向けたアピールを行なった。石川さんは「58年もの間、無実の罪で苦しんでいる。革新的な新証拠も出されており、無実を机上ではなく法廷の場で明らかにしたい。一刻も早く再審を開始させるためにも、さらなる支援を」と訴えた。

 また、4つの特別報告も同様に配信された。

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