違反又は疑いの事業所数は95社
進路保障会議に替えて資料配布



 例年行なわれている進路保障会議が2020年は新型コロナウイルスの拡大によって資料配布となった。今回配布された資料から東京の公正採用選考と課題を報告する。

 まず、教育庁の「2019年度都立高等学校から通報を受けた『早期選考・三局要請文違反事実の疑いに係る』通報票の実態について」では、違反又は疑いのあった事業所数は95社で昨年の108社から減少している。また、違反報告件数では全日制が68件で昨年の86件から18件減少し、定時制は31件で昨年の34件から減少した。

 東京労働局の「2020年3月新規高等学校卒業者の採用選考等に係わる不適正項目別事実確認状況」では、通報件数の実数は100事業所で昨年の98件から2件増加した。2020年7月15日現在で事実確認の状況は事実あり事業所が88事業所、事実確認中の事業所が3件であった。面接時の違反質問では出身地が9件あり、また家族の職業など家族関係が55件で、昨年の70件から15件減少している。

 教育庁が公正採用選考教育の推進に欠かせない就職活動に係る指導資料やワークシートが整えられ、ポータルサイトで活用されるようになった。

 私学部の公正採用選考のリーフレットでは厚労省の公正採用選考の動画のQRコードが掲載され利用者の理解に役立てられている。

 厚労省の民間企業への委託事業として行われている「高校生就職ガイダンス」でも、面接や履歴書の書き方などのノウハウとともにテキストでは公正採用選考も扱われ周知されている。

 外国籍生徒の進路で就職時に「家族滞在」などから在留資格が変更できることも周知されるようになった。

 東京では企業が採用時の説明会や面接で「法令遵守の会社なので、違法な14項目の質問はしません。安心して面接に臨んでください。配布したチラシや厚労省の5分動画をごらんください。」と申し添えることを、東京都産業労働局や東京労働局が企業に対して推奨している。この取り組みを都内の求人企業に短期間で広げることが課題である。そして、企業研修の軸を就職差別の背景としてある差別の実態と課題を丁寧に学ぶことに移行することも重要である。

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