新型コロナウイルス感染が世界的に拡大している。4月20日時点で230万人が感染し16万人が死亡した。また、国内では1万人が感染し171人が死亡した。ウイルスとの闘いが今世界の最優先課題となっている。
緊急事態宣言と
東京都の緊急事態措置
政府は4月7日緊急事態宣言を発令した。これを受け東京都は緊急事態措置を発表した。世論調査では8割が「遅い」という回答をしている。これは急速な感染拡大への社会不安と政府の対策への不信を表している。
東京都の緊急事態措置は5月6日までとしており、その内容は、人との接触機会を減らすために、外出規制、イベント開催や施設の利用制限、事業者の休業などを要請している。また、病床の確保や医療体制の緊急整備など医療崩壊を防ぐ措置も盛り込まれている。
緊急経済対策
政府は4月7日、緊急経済対策を、そして、4月20日、「一律10万円給付」のための補正予算を閣議決定した。対策の概要は、雇用調整助成金の拡充、中小企業向けの持続化給付金の創設、個人むけの給付金、保険料や納税の猶予など。事業規模はリーマン・ショック時の56.8兆円を大幅に上回る117兆円に達する。
しかし、いつ実行されるかも決まっておらず、財源の不確かなものも多く、実効性を疑う声もある。「防衛予算」5兆円には手をつけないのだろうか。
なお、緊急事態宣言発令以前から企業の資金繰り対策については日本政策金融公庫や都の制度融資でコロナ対応融資が実施されている。さらに社会福祉協議会などで緊急生活貸付金も実施されている。
解雇や雇止め、内定取り消しが急増している。解雇や雇止めは、4月7日時点で1677人でその2週間前から倍増した(厚労省調べ)。今後も増える可能性が高く、格差と貧困化は深刻化する。また、雇用調整助成金は4月10日現在で463件申請があり決定したのはたった3件という実効性の低さが浮き彫りになっている。更に、企業融資の受付や相談も急増しており融資実行まで2、3か月待たなければならない事態になっている。さらにまた、融資は負債を増やすだけで長期的に経営を圧迫する。中小企業に対する「給付的な対策」が必要である。
外出自粛や企業休業の要請はそれにともなう損失に対する補償がセットで実施されなければならない。同時に迅速性と手続きの簡易性が不可欠である。そうでなければ市民は安心してウイルスと闘うことはできない。
差別や人権侵害
経済や生活への影響と同時に、外出規制がいつまで続くのか、感染拡大はいつ収束するのか、先の見えない不安が差別や人権侵害に転化されている。新型コロナウイルス対策で外出が制限される中、女性に対する家庭内暴力が急増しているとして、国連が各国に対策を求めている。フランスでは、1週間で家庭内暴力の件数が3割以上増えたという。日本も例外ではなく、警視庁などへの相談が増加していると言われている。
障がい者団体は「障害者が医療にアクセスできる .環境 はますます厳しいものとなっているが、必要とする医療がしつかり受けられるように十分な配慮を講じること(「障害連」要望書より)」などを国に要望している。
また、東京都人権部のサイトでは「感染者を受け入れた病院で職員やその子供がいわれのない差別的扱いを受けたり、海外旅行から帰国後自宅待機を無給で命じられたりするなどの事例も発生している」とし「正しい情報に基づいた冷静な行動」を呼びかけている。
都連は、同盟員の相談に寄り添いながら、自主的な感染拡大防止を徹底し、被差別マイノリティや非正規労働者、中小企業の立場に立ち、生活補償と人権政策の強化と一体となった実効性あるコロナ対策を求めていかなければならない。