発信者情報の不特定事案が増加
部落差別とネット研究会



 「ネットと部落差別」研究会第6回公開研究会が9月12日オンラインで開催された。主催は(一社)部落解放・人権研究所第6研究部門で約70人が参加した。

 谷川「研究所」代表理事の主催者あいさつのあと、「反差別・人権研究所みえ」松村事務局長から「発信者情報開示の在り方に関する研究」などをテーマに報告を受けた。その骨子は以下のとおりである。

 ①総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」は8月中間とりまとめを公表した。現在のプロバイダ責任制限法にもとづく発信者情報の開示では発信者情報が特定できない状況が増加している、発信者情報特定のための裁判手続きが被害者にとって負担になっているなどの課題がある。②「中間とりまとめ」では、「電話番号」など開示する発信者情報を追加することや非訟手続等として被害者からの申立てにより裁判所が発信者情報の開示の適否を判断・決定する仕組みについて検討するよう提言している。

 報告後、14都府県連からモニタリング実施状況などネット上の差別に対する取り組み報告がおこなわれた。特に「部落探訪」に類似する差別情報が増加していることや法務省の取り組みの不十分さなどの報告や意見が多数出された。

 最後に北口「研究所」第6部門研究部長がまとめをおこなった。北口さんは、モニタリングは抑止効果があるとともに立法事実になる。コロナ禍で日本の人権意識の根底は変わっていないことが明らかになった。人権を侵害すると自分がマイナスになるという社会システム(法制定)をつくることが重要だとまとめた。

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