部落解放共闘第37回全国交流会が11月20日、連合会館でひらかれた。新型コロナウイルス感染拡大の状況をふまえて会場参加は少数に留め、Zoomでのオンライン配信の形式をとった。
開会挨拶を組坂・全国共闘議長が行ない「2016年に部落差別解消推進法が制定され、部落差別が社会悪であることを明確にした。この法律に基づき実施された実態調査の結果から、結婚や交際などについて差別意識があることが分かる。部落差別をなくすためには、まだまだ粘り強い取り組みが必要だ」と話された。
講演1では片岡・中央副委員長が「『全国部落調査』復刻版出版事件の経過と課題」と題して、鳥取ループが復刻版出版を計画してから裁判中の現在までの経過、部落探訪の掲載激化、行政への問い合わせ事件など各地での被害、法務省の依命通知と実態調査、被告側の主張などが話された。また、来年の5月頃に判決が出る見通しであることから、多くの人が関心を持っていることを裁判所に伝えるために各府県共闘や団体・組合の立場で裁判所に対して決議文・声明文の提出や集会・学習会などの支援を訴えた。
講演2では、藤本・都連委員長が「東京の部落問題の特徴と皮革産業」と題して、都連が取り組んだ東京の部落差別事件166事例(1990年~2015年)の中から格差社会と排外主義が強まった社会の反映で起こった事件の例として、連続・大量差別はがき事件を紹介した。古代から江戸時代までの革つくり、近代皮革産業の創設、皮革業の強制移転の歴史を解説し、部落の人々は人の嫌がる仕事をさせられてきたのではなく生活に欠かせない仕事を担ってきたこと、部落差別は許されないものであること、無理解が差別事件を引き起こすこと、無理解は個人の責任ではなく、部落問題を学ぶ機会がないことに原因があり、教育・啓発・研修が部落差別解消に一番大切であることなどが話された。