鑑定人尋問を求める声をハガキにのせて
要請ハガキ運動の展開を


 2009年9月から開始された三者協議が現在までに42回行なわれ、狭山弁護団は開示させてきた191点におよぶ証拠の科学的分析から、石川さんの無実を証明する225点もの新証拠を裁判所に提出してきた。自白のほか、被害者のものとされる万年筆、腕時計、カバンの三大物証や「秘密の暴露」を有罪証拠の主軸とした45年前の確定有罪判決は完全に崩壊している。

 再審の要件である確定判決に合理的疑いが生じる新証拠が次々と出されているにもかかわらず、事実調べ実施に踏み切らない東京高裁第4刑事部・後藤眞理子裁判長、および、新証拠への愚にもつかぬ反証と不誠実な姿勢で抗う検察官との攻防が続いている。狭山第三次再審はまさに最終段階に入っている。狭山東京実行委員会が結集軸となり、部落解放同盟東京都連が先頭に立ち、各支部、地域共闘が原動力となって、第三次の闘いで再審開始決定を勝ち取らなければならない。

 東京高裁・後藤眞理子裁判長に対して、事実調べの即刻実施・再審開始の「決断」を迫っていく具体的取り組みのひとつとして、狭山東京実行委員会は三多摩地域で朝日新聞に36万部折り込まれるタウン紙アサココへ「狭山意見広告」を掲載(2020年2月6日)し、石川さんの無実を大宣伝するとともに、確定判決に合理的疑いが生じている以上、再審の理念と刑事裁判の鉄則にのっとり、事実調べを実施して再審を開始することは当然であることを訴えた。そして、2月下旬の狭山事件の再審を求める「東京集会」、「三多摩集会」の開催、各地域での集会や情宣活動、5月開催の狭山市民集会を連動させて力ある流れをつくり出し、後藤裁判長が定年により退官する6月期に照準を合わせて事実調べ要求の闘いを集中していくことを提起し準備を進めてきた。東京都連は独自に三多摩地域での狭山再審を求める世論拡大を図っていくために、集会参加の要請も含めて東京西部の自治労傘下の労働組合を中心に狭山再審支援の要請行動に取り組んできた。

 しかし、予期せぬ新型コロナウィルス感染防止に関わる対応から「2・21 東京集会」「2・27 三多摩集会」は延期することになり、さらに、来たる5月22日に開催予定であった「狭山事件の再審を求める市民集会」も中止となり、取り組みの連動性が阻まれてしまう事態になってしまった。

 このような困難な状況に直面しても東京都連および狭山東京実行委員会は、東京・三多摩の両集会延期決定と同時に、当初の取り組み方針の練り直しを行い、構成団体、仲間とともに、誰もが取り組める具体的かつ日常的な取り組みを着実に展開して行き、「東京集会」「三多摩集会」の今秋開催の再調整、10月30日に日比谷野音で開催予定の寺尾差別判決46ヵ年を糾弾する「狭山市民集会」へ東京各地から再審開始を求める多くの声を集中させていくことを確認した。

 何としても第三次再審で決着させ、再審開始決定を勝ち取るためには、当面する最重要課題である事実調べの実施を迫る取り組みを強化・拡大することが必要不可欠である。

 再審開始決定がされた事件では、必ず事実調べが行なわれており、事実調べが行なわれない再審請求審は例外なく棄却されているという事実を重く受け止めて、事実調べ即刻実施要求の闘いを強化していかなければならない。

 狭山東京実行委員会は、後藤眞理子裁判長が退官する6月に向けて、「発見万年筆」は被害者のものではない、全くのニセ物であることを100%証明した下山進(吉備国際大学名誉教授)鑑定人への証人尋問(事実調べ)実施要求の一点に絞った要請ハガキ運動を大々的に展開していく。

 都連狭山闘争本部も都連各支部、地域共闘はもとより、東京各地・職場での取り組みの大展開を呼びかける。「万年筆はニセ物」ビラと「事実調べ要請ハガキ」をセットにして地域・職場の仲間に手渡し、鑑定人尋問を求める一人一人の声を一枚一枚のハガキにのせて裁判長に集中させていこう。

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