狭山事件の再審を求める市民集会
狭山事件の再審を求める市民集会が10月31日、日比谷野外音楽堂で開催され、全国から1100人が結集した。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会。
集会では、石川一雄さんと早智子さんからのアピールがあり「無罪を勝ちとるまで石川一雄は死にません。大野裁判長は12月で退官となるが、次の裁判長に託すとしても事実調べの実施だけでもしてほしい。みなさんも裁判所への要請行動を」と訴えた。
連帯アピールでは、10月27日に再審が開始された袴田事件の袴田巌さんの姉・袴田秀子さんも駆けつけ「巌に無罪判決が出ると信じている。次は石川さんの番です」と訴えた。その他にも、えん罪被害当事者である、「足利事件」の菅谷和利さん、「東住吉事件」の青木惠子さん、「湖東記念病院事件」の西山美香さんらも駆けつけた。
また、集会では「狭山事件の第3次再審請求で事実調べを求める緊急署名」が52万筆を超えたことが報告された。
この間の流れ
「9月に弁護団が検察官意見書への反論(新証拠と補充書)を提出」
「10月17日に弁護団がスコップ、タオル関連の証拠開示請求について意見書を提出」
「10月20日に弁護団が事実調べの必要性について意見書を提出」
「10月26日に弁護団がインク資料の鑑定請求について補充書2を提出」
この間、弁護団が提出した新証拠は各鑑定人の意見書など269点に。
第57回三者協議
第57回三者協議が11月2日にひらかれた。東京高裁第4刑事部の大野勝則裁判長と担当裁判官、東京高等検察庁の担当検察官、弁護団からは、竹下、高橋、小野、七堂、横田、近藤、平岡、小島、山本、指宿の各弁護士が出席した。
協議では、弁護団からこの間提出した検察官に対する反論の意見書と新証拠について説明した。また、弁護団が10月26日に提出した鑑定請求補充書2の趣旨を説明し、あらためてインク資料の鑑定の実施を求め、タオル、スコップについての証拠開示勧告の発令を強く求めた。
検察官は、弁護団が求めた11人の専門家の鑑定人尋問とインク鑑定の実施について、すべて必要ないとする意見書を提出しており、これに対して、弁護団はこの間「スコップ、血液型、識字能力、自白、殺害方法・死体処理」について反論の意見書を提出した。検察官は、再反論を提出する予定としており、事実調べについての判断は、これらの意見を受けてからになる。
大野裁判長の定年退官前に行なわれる三者協議は今回が最後となり、次回の三者協議は2024年2月下旬に行なわれる予定。
狭山第3次再審の闘いは大詰めを迎えている。引き続き、事実調べの実施を求める世論を地域・職場から拡大し、署名運動をすすめ、事実調べ実施・再審開始を実現しよう。