手拭いについて新証拠を提出
第42回三者協議


2013年に開示された手拭い配布一覧表<br>石川さんの義兄宅の箇所だけ1が2に改ざんされていた

 狭山弁護団は3月3日付けで手拭いについて、再審請求補充書と新証拠1点(事件当時の捜査報告書)を提出した。

 狭山事件では、発見された死体を後ろ手に縛っていた手拭いを石川さんが入手可能だったとして有罪証拠のひとつとされた。この手拭いは市内の米店が配布したうちの1本で、事件直後の捜査で警官が現認し、提出されている。

 しかし、検察官は石川さん宅から提出された手拭いは、石川さんの義兄宅から都合をつけたものと主張し、寺尾判決は有罪の根拠としていた。今回提出した補充書で弁護団は、有罪判決の認定は結論ありきの推測を重ねたもので、開示された捜査資料など、これまで提出した新証拠を総合的に見れば有罪判決に合理的疑いが生じていると主張している。

 一方、検察官は、弁護団が提出した殺害方法等についての赤根鑑定、長尾鑑定や血液型についての鉄意見書への反証として、3月16日付けで意見書を提出するとともに、近藤稔和・和歌山県立医科大学教授の意見書を提出した。弁護団は再反論を提出するとしている。

 狭山事件の再審に関する第42回三者協議が3月19日に東京高裁でひらかれた。検察官は今後の反論の提出について次のように述べた。

 ①下山第2鑑定については、当時のジェットブルーインクが入手できなかったため、実験などはせず、検察官の反論の意見書を提出する。原・厳島鑑定(心理学実験にもとづいて万年筆発見経過の不合理を指摘した鑑定)に対する反論とあわせた意見書として5月中に提出する。②スコップに関して弁護団が提出した平岡第2鑑定に対する反証を、次々回の三者協議をメドに提出する。③そのほかの論点についても反論、反証が必要なら随時提出する。

 弁護団は検察官から反証、反論が提出されれば再反論するとしている。また、準備中の証拠としては、3次元スキャナを用いた計測にもとづく足跡鑑定、コンピュータによるデータ分析の手法を用いた取調べテープ分析鑑定、福江鑑定人による第2意見書を、5~6月をメドに提出する予定であること、事実調べ(鑑定人尋問)を請求することを裁判所に伝えた。

 次回の三者協議は6月中旬にひらかれる予定。

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