99.9%石川さんの筆跡ではない
狭山事件の35回三者協議


第35回三者協議後の記者会見

 狭山事件の第35回三者協議が1月22日、東京高裁でひらかれた。狭山事件の第三次再審を審理している東京高裁第4刑事部の裁判長が昨年末に後藤眞理子裁判長に交代して初めての三者協議。弁護団は証拠開示関係で協議したほか、1月15日に提出した新証拠である福江報告書と魚住意見書についての説明をおこなった。

 狭山弁護団は1月15日に福江潔也・東海大学教授による「脅迫状と上申書間におけるコンピュータによる筆者異同識別」など報告書2通、魚住和晃・神戸大学名誉教授による筆跡についての意見書、石川さんが事件当時の5月21日に上申書を書いた際に立ち会った警察官の報告書3通など計6点の新証拠を東京高裁に提出した。

 これで第三次再審請求で提出された新証拠は197点となった。

 今回提出された福江報告書は、コンピュータを使って文字を読み取り、字形の情報を数値化、文字を重ねたときのズレ量を計測し、筆跡の相違度を比較する方法で鑑定を行なった結果、真犯人が書いた脅迫状と石川さんが書いたとされる上申書・手紙は「識別精度99・9%で明らかに別人により筆記されたものである」と結論づけた。

 また、個人内の書きムラも考慮して、脅迫状と石川さんの筆跡の相違が書きムラではありえないことも数量的に証明し、「字は書くたびに違う」と筆跡の違いをごまかしてきた再審棄却決定の誤りも明らかにしている。

 協議において、弁護団が提出した福江報告書、魚住意見書などの新証拠に対して、検察官は下山鑑定の時と同様、反証・反論を検討しているとした。

 中山主任弁護人は、多くの開示証拠をもとに新証拠を提出しており、筆跡などの鑑定を裁判所がしっかりと検討するよう要請した。

 弁護団および石川一雄さんは三者協議終了後に記者会見をひらき、新証拠の意義をマスコミに訴え、石川さんは「学校に行けず、当時は読み書きができなかった私が脅迫状を書けるはずがない。その通りの鑑定が出た。一日も早く再審を認めてほしい」と訴えた。

 次回の第36回三者協議は5月中旬の予定。

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