9月29日、11月上旬に開催予定の狭山事件の第30回三者協議での進展に向けて、第30次高裁前アピール行動が始まった。
小雨が降る中、東京都連、埼玉県連、共闘や各地住民の会の仲間たちが多数参加し、高裁前を行き交う方々に狭山事件の真相を分かりやすく説明したリーフレットを配布し、署名をお願いしながら再審開始を訴えた。参加者のアピールは、有罪判決の重要証拠である「万年筆」の発見過程の不自然さ、証拠ねつ造に集中し、植村裁判長に対し、鑑定人尋問、事実調べ実施を強く要請するものとなった。
8月22日に弁護団が提出した新証拠(下山鑑定)は、「石川宅で発見された被害者のものとされる万年筆のインクは、被害者が使っていたインクではない」「疑惑の万年筆はやっぱり捏造だった」ことを科学的に証明した。被害者のものとされる万年筆は、家宅捜索のプロが、2回の徹底した家宅捜索(のべ26人、計4時間25分)をして見つからなかったが、3回目にはわずか14分で見つかり、また、その発見万年筆のインクは事件当時に被害者が使用していたインクとは違う色で、さらに事件直前まで使っていた被害者の指紋も、それを持ち帰って隠したとされる石川さんの指紋も付いていないという疑惑の証拠物だ。
そして、当時捜索にあたり責任者であった元警部や刑事たちが「鴨居を捜したが何もなかった」と証言している。今回の下山鑑定は、有罪判決の重要証拠とされていた万年筆が被害者のものではないと科学的に証明している。下山鑑定について検察は「出されたばかりなので検討したい」と回答しているが、次回三者協議での追及・進展に大きな期待をよせたアピールが続いた。お昼の部は、捏造の現場である鴨居の模型も出し、誰でも万年筆が見え、見落とすはずがないことを訴えた。