狭山事件の再審勝利に向けて、9月10日、第15次東京高裁前アピール行動(9~10月に計7回行われる)が始まった。
東京都連をはじめ埼玉県連や同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議などから十数名が早朝8時30分から高裁前でビラや署名活動を行なった。
午前9時、石川一雄さんの無実の訴えが始まった。裁判長から検察官に証拠開示勧告がなされ、2009年以降131点の証拠が開示されているが、弁護団の要請する重要証拠については「必要性がない」あるいは「不見当」といった対応の東京高検の不誠実さに怒りを込めて、全証拠開示の必要性と公正裁判には不可欠である事実調べを早急に行なうことを訴えた。続いてマイクを握った石川早智子さんは「私の夫は50年も無実の罪で苦しんでいます。検察はすべての証拠を開示して、一日も早く事実調べを行ってください。」と訴え、その瞳はまっすぐ東京高裁に向けられ胸に迫るものがあった。
午後の部では、足利事件の菅家利和さんが力強い訴えを行ない、また、落語家の露の新治さんが、二度の徹底捜索で見つからなかった「鴨居の万年筆」が発見されたその不自然さを噺家らしく軽快・明快に訴えてくれた。さらに、京楽座俳優の中西和久さんも駆け付けて頂き、ビラ配りなどをサポートしてくれた。
第15次高裁前アピール行動初日、若い人が率先して署名をしてくれることが多かった。事件発生から50年。狭山事件の再審を求める世論は着実に広がっている。引き続き行なわれる全国からの連続したアピール行動での訴えを東京高裁に届かせ、10月下旬に予定されている、裁判所・検察・弁護団による15回目の三者協議の大きな進展と再審実現の着実な世論拡大を図っていかなければならない。