狭山事件の再審を求める市民集会が5月23日13時から日比谷野外音楽堂で開催される。主催は、狭山事件の再審を求める市民の会や部落解放同盟中央本部などが呼びかける集会実行委員会。
狭山事件の審理については、2009年12月、東京高裁は東京高検に対して証拠の開示を勧告し、これまでに17回の三者協議が行なわれ、136点の捜査報告書などの証拠が開示された。事件発生から47年目にしてはじめて証拠開示された石川一雄さんの逮捕当日の上申書は重大な新証拠である。石川さんが書いたと自白している脅迫状の筆跡がまったく違うことが明白となった。また、高裁は検察官に犯行現場を裏付ける血痕反応検査報告書の開示を勧告したが、検察官は「不見当(見当たらない)」としている。殺害現場を裏付け特定する証拠は何もないことになる。犯行時刻と同じ時間帯に犯行現場と隣接した畑にいて悲鳴など聞いていないと証言しているOさんの証人尋問などの事実調べを東京高裁は即刻行なうべきである。また、犯行に使われた手拭いに関する初期の捜査報告書が開示されたが、検察官の主張が成り立たないことを明らかにしており、むしろ、入手本数の書き替えがされているなど、手拭い捜査が事件の真相究明から石川さんを犯人にするためのでっち上げに変質している。犯行に使用された手拭いを根拠にした有罪判決に合理的疑いが明確に生じており、「確定判決」は確実に崩れてきている。
足利、布川、東電社員殺害事件、そして先日再審開始決定が出された袴田事件など、相次ぐ冤罪の再審無罪判決の教訓は、証拠開示が不可欠ということである。東京高裁河合裁判長は、再審制度の理念と相次ぐ冤罪の教訓をふまえ、証拠開示を積極的にすすめ、鑑定人尋問などの事実調べを即刻行なうべきだ。
5月23日に行われる集会では、こうした検察の姿勢を批判し、一日も早く開示勧告に応じること、また、裁判所に対しては弁護団が提出した新証拠の事実調べに踏み切るよう求めていく。狭山事件の再審を求める闘いは、まさに大きな山場だ。都連も全力でこの集会に参加しよう。
( 写真は昨年の10.31狭山集会)