1・2回目の捜索で万年筆未発見は不合理
原・厳島鑑定、3者協議で


 狭山事件の再審に関する第39回3者協議が4月22日に東京高裁で開かれた。東京高裁第4刑事部の後藤眞理子裁判長と担当裁判官、東京高等検察庁担当検察官、狭山弁護団から中山主任弁護人、中北事務局長、横田、近藤、青木、平岡、小島、河村、山本、高橋、指宿、竹下、小野、川端の各弁護士の参加があった。弁護団からは4月1日に新証拠として東京高裁に提出した原・厳島鑑定及び補充書について説明した。新証拠の提出は221点となった。また、検察官は下山第2鑑定に対する反証を8、9月頃に提出するとした。弁護団は今後、準備中の新証拠を提出し、検察から下山第2鑑定への反証があれば、再反論する構えだ。次回3者協議は9月上旬の予定。

 今後、事実調べを求める世論を広げるために新証拠の学習・教宣を強化し、再審開始の世論を高める取り組みを推進しよう。

 狭山弁護団が4月1日に提出した原・厳島鑑定及び補充書は駿河大学の原總教授、日本大学の厳島行雄教授による「狭山事件における捜索・差押に関する心理学実験」と題する鑑定書である。両心理学者が石川さん宅での万年筆の探索実験で「家宅捜索の経験もない素人の12人の大学生全員が30分以内に石川さん宅の鴨居の上の万年筆を発見した」という実験結果がでた。この実験結果を踏まえれば、狭山事件の警察による万年筆発見経過について、狭山事件の1、2回目の警察の石川さん宅の万年筆を探す目的で行なわれた捜索時に、鴨居の上に万年筆があったにもかかわらず発見されなかったということは合理的に説明できないと結論づけた。

 昨年、下山第2鑑定が出され、蛍光X線分析の元素分析で万年筆に被害者が当日使ったインクが入っておらず、被害者の万年筆とは別物だということも科学的に証明されている。

 新証拠を総合的に見れば、被害者のものとされる万年筆が石川さんの自白によって被害者の所持品がはじめて発見されたという「秘密の暴露」とは到底言えないのである。

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