都内不動産業者(x社)が、大阪市内で土地差別調査をおこなった事件が、2023年9月に発覚した。X社の営業担当者は、取引物件のある大阪市内のある地域が同和地区かどうか大阪市に問い合わせた。また、(一財)大阪府人権協会に、不動産取引にあたって買主への重要事項説明書に記載するため、物件所在地が同和地区かどうかも問い合わせた。大阪府人権協会は重要事項説明書に記載することは差別につながると指摘した。更に、大阪府は大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例に違反していることからX社に調査、指導に入った。
X社の営業担当者は、同和地区に関する問い合わせが差別につながるという認識はなく、X社の代表は、法定講習を受講していたが、人権の講義については記憶に残っておらず、社内で同和問題に関する研修も実施されてなかった。
東京都も宅地建物取引業法第72条に基づき、X社に対する調査を実施し、社内教育・研修計画の作成、業務管理体制の整備などを指導した。
また、東京都は再発防止策として、都内業界団体に対して啓発通知を発出、業界団体ホームページに、啓発通知及び人権リーフレットを掲示、業界団体会報誌に啓発リーフレットを同封、法定研修及び宅地建物取引業法講習会における人権研修について、事例問題を取り入れ工夫をしていくとともに、研修内容を社員全員で共有するよう研修内で説明、社内研修用に人権研修資料を業界団体ホームページで公開するなど業界に向け改めて人権啓発、強化を呼びかけた。
更に、本年、夏ごろを目途に、東京都宅地建物取引業法事務処理要綱に、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「その他留意すべき事項(宅地建物取引業者の社会的責務に関する意識の向上について)」と同内容のものを追加するとともに、分かりやすく伝えるためにQ&Aを記載するなど内容を検討するとした。
研修効果を確認するアンケート等の実施についても、手法を含めて検討するとした。