探偵業務に悪用されている可能性
都内行政書士 職務上請求書不正使用



 東京都行政書士会所属のK行政書士が、昨年の9月27日付けで職務上請求書の不正使用で廃業勧告処分を受けていたことが、今年の1月、都連への通報メールで発覚した。

 東京都行政書士会のホームページで公表されている処分報告書では、「職務上請求書を、探偵を兼業とする補助者に委ね、長年に渡り不要な範囲又は職務上請求書使用が認められない事件の多数の書類を請求及び取得することを看過し、(略)職務上請求書の使用済み控えの紛失に関し報告及び届出が為されていない。更に、事の重大性に対する認識と自身の反省意識が極めて薄い」と処分理由が示され処分内容は廃業勧告処分となっている。

 2月7日、中央本部と都連は、東京都行政書士会と話し合いを持った。解放同盟側は、片岡中央副委員長、大西中央執行委員(都連副委員長)、近藤都連書記長、東京都行政書士会からは、青池副会長、西村総務部部長など5名が出席した。

 東京都行政書士会は昨年の1月に匿名の通報で事件を知り、3月にK行政書士に事情聴取した。すでに払い出ししていた100枚(50枚綴り2冊分)の職務上請求書の内、正当に使用されたとみられるのが19枚、未使用が27枚、残りの54枚は紛失していた。未使用の職務上請求書にはすでに探偵業を兼業とする補助者名が記載され、印鑑も押されていたことも問題であり、紛失したとする54枚が何の目的で使用されたかが今回の事件のポイントである。紛失分の事件簿も確認できないので、身元調査などに使用されたかどうかは不明だが、補助者が探偵業を兼業していることなどを考えると探偵業務に職務上請求書が悪用されている(被害者がいる)可能性は大きい。

 東京都行政書士会は廃業勧告処分とし、東京都に2023年10月6日付けで懲戒処分請求しているが、監督庁である東京都は未だに処分決定していない。このことについて2月26日、東京都人権部と都連三役で話し合いを持った。東京都は、「一般的に、懲戒処分請求等がなされた場合には、調査等を行うことになるが、慎重におこなう必要があるので、時間を要する」と答弁した。尚、東京都は、「懲戒処分請求」など通知を受け、「都による調査」を実施し、本人からの「聴聞」をおこない、その後、「処分の決定」という手続きとなる。

 都連としては、今後、紛失した54枚についてどの区市町村に請求されているか、各支部を通じて各区市に協力を依頼。

 また、本人通知のためには、東京都が処分決定を公告することが条件となっており、本人通知制度が、職務上請求の不正使用による被害者の救済に向けた制度であり区市町村の人権救済制度に支障が生まれないよう、早期に処分決定するよう東京都への要求を強めることとした。