自治体は公用請求の現状把握を
新潟県職員戸籍謄本等不正取得事件



 新潟県職員及び嘱託員による戸籍謄本等不正取得事件が今年3月に発覚した。新潟県の報道資料によると、職員は嘱託員に依頼し、2016年5月~7月にかけ親族の戸籍謄本や住民票の写し174件を24区市町村から、同様に、非常勤嘱託員は2014年7月から2015年1月にかけて、149件を19市区町村から取得していた。いずれも公用と偽っての請求である。第三者の戸籍等が取得できるのは、「公用」「8士業者」「本人」等であるが、今回の事件は「公用」による不正取得であり、行政当局の責任は大きく、新潟県連と中央本部は県に再発防止を申し入れている。

 公用請求先(取得先)は全国に及んでおり都内では8区から27件取得していた。都連は関係する8区に協力を依頼し、真相解明に向けた取り組みを進めてきた。その結果、①新潟県から関係区市町村に対しては、3月30日前後に各区に報告、謝罪がされ、その後、本人対応、不正取得書類の取扱、発行費用弁済に関する通知が出されていること。②公用請求日は、2014年6月から2016年6月の間におこなわれ、2016年6月が多いこと。③本人(被害者)通知は新潟県が対応することとなったことなどが判明した。

 今回の事件は、新潟県のみの問題ではなく、職権(公用)で第三者の戸籍等が取得できる限り、東京都、区市町村において、当該担当者(部局)の人権意識と管理システムについて現状の把握と検討が必要である。また、「本人通知」にかかわって、8区の内、4区が「本人通知制度」を導入しているが、今回は新潟県が本人に謝罪することで、当該区は本人通知しない決定が出されている。被害者が暮らす行政区が何もしないでいいのだろうか再検討が必要である。さらに、「本人通知制度」を導入していない区は早急にその導入をはかるべきである。