「差別の現実を踏まえ十分な配慮をする」と表明

国立公文書館古地図展示問題



国立公文書館

 独立行政法人国立公文書館は、2014年11月22日から12月14日まで、「平成26年特別展 江戸時代の罪と罰」を開催した。この特別展で「鼠小僧次郎吉が忍び込んだ屋敷」等を示すために、何ら配慮もなく「穢多村」表記のある分間江戸大絵図(天保10年)が展示されていた。また、来館者に有料で配布されていたパンフレットにおける「穢多」「非人」に関する記述の仕方は、差別が拡大される恐れが懸念されるものであった。
 この問題について、中央本部と都連は、2015年1月28日、国立公文書館に話し合いを申し入れた。2月4日、1回目の話し合いがもたれ、改めて、展示やパンフレット記載については差別が現存する社会状況のもとでは何らかの配慮をし差別が拡大されないような展示や記載が必要であることを訴えた。この話し合いを踏まえ、国立公文書館は、反省の意を込めて回答をよせ、8月25日、2回目の話し合いがもたれた。
 第2回話し合いの場で、国立公文書館は、①「穢多村」表記のある古地図の展示について、当該地区に現在居住する人々への配慮が十分でないと指摘を受け、地図資料の展示についてはより細やかな配慮が必要であると実感した。②展示資料の解説(パンフレット)の執筆にあたっては、入念な調査と十分な説明が不可欠であることをあらためて感じさせられた。③今後について、差別の現実を踏まえて、十分な配慮をもって取り組んでいく。このことを職員に周知する。また、職員とともにフィールドワークを実施し認識を深める、と見解を述べ、今回の件について話し合いを終了した。