不正使用された職務上請求書146通
被害者救済に向け抜本的な対策を

太刀岡戸籍謄本等不正取得事件



戸籍謄本集約

 太刀岡戸籍謄本等不正取得事件で不正に使用された職務上請求書が、都内で20区市町村、146通あったことが判明した。(表参照)
 太刀岡は「A社」から依頼を受け、司法書士会が定めている職務上請求書に「登記事項変更」等と虚偽の記載をし、第三者の戸籍謄本等を526通、そして、236通の職務上請求書を不正に使用していた。被害者の半分以上が都内に戸籍などをおいている者という結果となった。(本紙870号、879号参照)2011年に発覚した戸籍謄本等不正取得事件=プライム事件の首謀者は、不正取得の目的の大半は結婚における身元調査であることを裁判で証言している。今回も部落差別の被害者が存在する可能性があり、被害者の立場に立った対策が必要になっている。
 しかし、被害者の救済、また、加害者の規制において、今回の事件は大きな課題を残している。課題の第1は、「本人通知制度」を導入している当該区が7区あるにもかかわらず、実際に本人通知されたのは2件しかないことである。不正使用された職務上請求書のほとんどが区市町村の文書保存年限(多くは3年)を経過しており、職務上請求書に記載されている「被害者」の住所や名前等が分からず、「本人通知」できない事態が発生していることである。「本人通知」できないということは、「自己情報開示請求」など被害者救済の道を阻むことになり、差別身元調査がおこなわれていた場合、被害者は泣き寝入りを余儀なくされ差別が放置されることになる。東京法務局は早急に情報を当該区市町村に提供しなければならない。また、現行の本人通知制度の改善が必要になっている。
 第2の課題は、「本人通知制度」を導入していない13区市で全体の半分以上を占めており、全区市町村での「本人通知制度」の導入が求められている。
 第3には、不正取得を依頼した「A社」が野放しになっていることである。誰が何の目的で不正取得を依頼したか明らかにされなければならない。今も別の司法書士等に依頼し差別身元調査を続けているかもしれず、法務当局は早急に対策を講じなければならない。
 戸籍等の不正取得を通じた差別身元調査の根絶に向け、多くの課題が残されており、本人通知制度の法制化や身元調査を規制する法制度の確立など抜本的な解決に向け、取り組みを強めていかなければならない。