INDEX > 差別事件

戸籍謄本等不正取得事件で
群馬ルートの真相を解明

大沼被告の「職務上請求書」偽造を見逃した行政書士会


 2012年9月に「情報屋」ら8人が逮捕された戸籍謄本等不正取得事件、いわゆる「群馬ルート」の真相解明に向けて都連は、公文書開示請求の取り組みと東京行政書士会(以下行政書士会)との交渉を行ってきた。現在までに判明している事実について報告する。
 東京都連は2012年12月3日、行政書士会に対して、@今回の事件の真相究明を行うことA違反者に対して厳しい処分を行うことB人権研修計画を策定し、再発防止のために会員への指導を徹底することを要請した。その後、2013年1月21日にも行政書士会の会議室で中央本部とともに交渉を行った。この交渉の中で二つの重大な事実が判明した。一つは2008年10月24日に三重県鈴鹿市が日本行政書士会連合会(以下日行連)あてに戸籍謄本等職務上請求用紙の中に通常は「義務履行」という文字が大沼源被告の職務上請求書は「業務履行」となっていることに気づき連絡した。にもかかわらず、行政書士会は偽造と見抜けず大沼被告の言い逃れを許し、結果、見逃してしまった問題である。「職務上請求書」の大量偽造は大沼被告が最初に始めた可能性が大きい。つまりこの時点で行政書士会が徹底した真相究明と大沼被告に厳しい処分を行い、社会的に事実を公表し、再発防止策を図っていれば、以降の事件は防げたはずであり、行政書士会の責任は重い。 
 行政書士会は2008年11月17日に行政書士会副会長等が大沼被告に対する事情聴取を行ったが「事務は事務員にすべて任せていて詳細はわからない」「鈴鹿市から職務上請求書の原本が届いていない」などとウソをついて、言い逃れた。そして2009年3月12日に大沼被告から行政書士会会長あてに「原本紛失理由書・始末書」が出されただけの甘い処置で終わっているのである。
 二つ目は2009年9月2日に行政書士会に足立区の一区民から自己の住民票の写しが大沼被告により不正に取得され、人権侵害にあったとの苦情が申し立てられた問題である。
 行政書士会の話では「足立区のこの女性は、住民票を不正に取られ、ある人からいやがらせを受けた」との苦情であったと記録されているという。
 この一件は行政書士会「苦情処理委員会」から行政書士会会長に報告され、会長から「綱紀委員会」に諮問された。しかし、綱紀委員会からは、会長あてに違法行為は認められない旨答弁があったという。一度ならず二度までも見逃してしまっているのである。この件においても行政書士会の責任は重い。また、これにより都内で具体的に人権侵害の被害が確認されたのであり、各区市町村行政もあらためて一連の戸籍謄本等不正取得事件が大変、深刻な問題であるということを再認識しなければならない。
 都内で3月28日現在「群馬ルート」(行政書士大沼源、行政書士谷口信寿の合計)は456枚の偽造した戸籍謄本等職務上請求書が使われて大量に戸籍等が不正取得されたことが判明している。
 すでにプライム事件と今回の「群馬ルート」の合計で、(3月28日現在)都民1262人の(戸籍等を不正に所得された)被害者が確認されていることを行政書士会はじめ8士業や国、東京都、区市町村行政は重く受けとめ再発防止策を立てなければならない。
 行政書士・谷口信寿被告に対する名古屋地裁の判決が3月21日に出された。判決は懲役2年6カ月執行猶予3年である。都内の区市町村行政は人権侵害を防ぐために一刻も早く、被害者に「事実告知」(本人通知)を行わなければならない。

部落解放同盟東京都連合会
http://www.asahi-net.or.jp/~mg5s-hsgw/