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戸籍謄本等不正請求が都内で600件以上

プライム事件で東京司法書士会に申し入れの回答を求める


 「戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書」の偽造によって戸籍等の大量不正取得を繰り返していたプライム事件で、戸籍法違反、住民基本台帳法違反、偽造有印私文書行使の罪に問われていた横浜市の探偵社代表の粟野貞和被告(62)への判決が3月22日、名古屋地裁であった。
 佐々木一夫・裁判長は「個人情報を有償で提供して利益を上げる仕組みを作り上げた。本人の知らないところで個人情報を売買して大量に流通させ、日常生活が脅かされる被害も生じた」と指摘し、懲役2年6月(求刑・懲役3年6月)の判決を出した。
 この判決後、都連は4月6日、中央本部とともに、申し入れ書に対する回答について東京司法書士会と話し合うため司法書士会館を訪ねた。都連からは藤本副委員長、近藤書記長、水野事務局員が参加した。東京司法書士会は鴨田専務理事、森澤常務理事が応対した。
 昨年12月21日の申し入れでは、@真相究明をおこなうことA違反者への厳しい処分を行うことB研修の開催など会員への指導の徹底を行うことを求めた。この日の回答では「3月23日に練馬区の司法書士・佐藤隆(50)被告に対して、名古屋地裁は住民基本台帳違反・戸籍法違反で罰金250万円の判決を出した。現段階では佐藤隆被告が保釈されていることを確認できていない。保釈されていれば司法書士会も本人を呼んで調査を開始する。そして東京法務局が公開聴聞し、懲戒処分を行うと思う。佐藤隆被告には職務上請求用紙は2008年に1冊100枚、2009年1冊100枚の合計200枚しか頒布していない。同和・人権研修については、これまで実施していない。研修をめぐっては部落解放同盟と話し合う」と回答した。
 都連はプライム事件の真相究明のために都内の各区市町村に対し、公文書開示請求などの取り組みをすすめている。4月25日の時点では22区2市で625枚の請求用紙が不正に使われ、判明しているだけでも戸籍謄本や住民票が828通不正にとられている。
 裁判でプライム総合法律事務所経営者・奈須賢二被告(51)は「3年間の間に2万件取ったがその85%から90%は結婚の身上調査と浮気調査だった」と証言している。また、ストーカーや脅迫など数多くの被害も出ており、事態は深刻である。今後、さらに真相究明の取り組みをすすめるとともに、本人通知制度の導入など、再発防止策をめぐり東京法務局や司法書士会及び関係団体、東京都や各区市町村行政との話合いをすすめていかなければならない。

部落解放同盟東京都連合会
http://www.asahi-net.or.jp/~mg5s-hsgw/