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古地図と現代地図を重ね合わせて
被差別部落を特定する書籍が出版
「大 江 戸 今 昔 マ ッ プ」
「穢多村」表記のある古地図と現代地図を重ね合わせることができる書籍が出版、販売されていたことが昨年明らかになった。書籍のタイトルは、『大江戸古地図散歩(文庫版)』と『大江戸今昔マップ』。文庫版は昨年2月に初版発行し4万5千部以上、また書籍版は昨年9月に初版発行され1万4千部以上発行されている。『大江戸今昔マップ』は、尾張屋版切絵図(嘉永2年、1849年発行:穴八幡宮所蔵)、いわゆる江戸古地図30点を掲載し、道路、名所、史跡、町名等を記載した現代の地図をトレッシングペーパーに記載し、古地図(切絵図)と重ねることで、「切絵図をもとに現代を歩ける」という「お江戸歴史ガイド」を意図し出版されたものである。
この切絵図の一枚に「穢多村」と表記されたものがあり、現代地図上には名所一箇所と町名が記載されている。
古地図を現代地図と重ね合わせることで、容易に被差別部落を特定でき、しかも、その古地図上を散歩することで、あるいは他の情報とすり合わせることで、被差別部落の住民個々人さえ特定される。現実に土地差別調査事件や戸籍謄本不正取得事件などにみられるように差別身元調査が後を絶たたない中、しかも、差別した者を規制する法整備も整っていない中で、被差別部落の所在地をこのような「大衆的娯楽本」で公表するということは、差別を助長するといわざるを得ない。
現在、この件について発行者である出版社と話し合いを続けている。
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