「全国部落調査」復刻版出版事件裁判控訴審第1回口頭弁論が8月3日に、東京高裁101号法廷で開かれた。
まず、原告団を代表して片岡明幸原告団長が意見陳述を行なった。「第1に復刻版出版は歴史的社会的に差別的取扱いを受けた地域のリストであり、出版・公表自体が部落差別を助長するものである。第2には法務省が焼却処分した部落地名総鑑と復刻版は同じ差別図書である。第3には復刻版に記載されたすべての都府県についての差し止めを認めるべきである。第4に被差別者が自ら名乗る「カミングアウト」と他人から無理矢理に暴露される「アウティング」は全く違うものである。第5には鳥取ループМ(示現舎社員)は東京法務局の「差別を助長する行為を中止するように」との説示を無視し、インターネット上で復刻版や「部落探訪」などを掲載し続けていると裁判長に訴え、全ての都府県での出版禁止とネット削除の判決を強く求めた。
次に原告の吉田さん(北陸事務所)が意見陳述を行なった。「一審判決で出版差し止めから除外された16県に私が関わっている富山県、石川県、福井県が含まれています。富山市の同盟員の反応は心配と怒りでした。被告Мらの行為に誘発されたと考えられる事案が2017年に石川県内の市役所で結婚に関わる差別問い合わせ事件が起きています。裁判長には、声を上げることが困難な地域があることを、是非とも理解してほしい」との切実な訴えが行なわれた。
次に代理人の河村弁護士から弁護団を代表して意見陳述が行なわれた。「差別されない権利は憲法14条に書いてある人格権として、また平穏に生活する権利として認められるべきである」と裁判官に訴えた。鳥取ループМの意見陳述は部落解放同盟への誹謗中傷に終始し、聞くに堪えない内容であった。
次回公判は11月17日午後3時と決まった。
裁判終了後、弁護士会館で報告集会が行なわれた。裁判の傍聴と報告集会(オンラインも含む)を合わせて、22都府県157人が参加した。