判決は9月27日に、裁判支援の拡大を
「全国部落調査」復刻版出版事件裁判結審 報告集会



「全国部落調査」復刻版出版事件裁判結審 報告集会

 「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の結審(最終弁論)が3月18日に東京地裁で行なわれた。

 原告と被告の双方が最終準備書面の提出と若干の証拠を追加提出し、それぞれ意見陳述を行なった。判決は9月27日に出る予定。

 結審(最終弁論)報告集会では、西島・中央本部書記長が開会挨拶を行なった後、指宿弁護士、山本弁護士、河村弁護士、中井弁護士から弁護団報告が行なわれ、裁判の内容を共有した。

 原告側の意見陳述では、片岡・中央本部副委員長から、①公表すること自体が差別を助長する、②公表がいかに部落出身者を苦しめているのか、③原告の分類に意味はないということ、④原告が公表するのは差別をなくすため、⑤仮処分決定あるいは説示に被告らの行為が違反していることなどを裁判官に訴えた。指宿弁護士からは、被告らが行なった行為は人格権の侵害にあたり、具体的にはプライバシー権・名誉権・差別されない権利の侵害、部落解放同盟に対しては業務を円滑に行なう権利の侵害を行なっていることを訴え、人間の尊厳が守られるためにということで、証人尋問での山口県連の川口さんの発言の引用と水平社宣言の「人の世に熱あれ、人間に光あれ」を引用し、「人間の尊厳が傷つけられ光を失うような世の中をつくってはならない」と裁判官に訴えた。被告側の意見陳述では、裁判の論点とは関係のない部落差別や解放同盟への偏見に満ちた内容だった。また、全国部落調査は差別にしか使えないものであり、差別のための道具をネット上で公開することは許されないという弁護側の主張に対しては、米国の大学教授の論文(この論文に対して中央本部は反論を準備している)の中で、被告がネット上に公開した全国部落調査が引用され、学術的に使用されているから、日本国内の学者にも学術的に使うことを許すべきだと被告側が主張していたことなどが報告された。

 片岡・中央本部副委員長が行動提起を行ない、地方法務局へ復刻版の削除要請、モニタリング事業要求の強化、ネット事業者団体への要請、差別禁止法や部落差別禁止法の展望、裁判支援の拡大などについて話された。

 持田・部落解放埼玉県共闘会議議長、斎藤・大阪市立大学特任助教授、柄川・大阪同和・人権問題企業連絡会理事長から連帯挨拶があった後、赤井・中央本部財務委員長が閉会挨拶と団結がんばろうを行なった。