古地図展示で差別解消の姿勢表明

すみだ北斎美術館企画展で



 すみだ北斎美術館で9月9日から10月22日までに開催された企画展「パフォーマー☆北斎~江戸と名古屋を駆ける~」で「名古屋城下図(江戸時代の手書き絵図)」という古地図に被差別部落を「穢多」と表記しているものがあり、墨田区は、解説文を作成し展示を行った。墨田区は部落解放同盟をはじめ関係団体と相談し、新たな解説文を以下のとおり作成した。

 「本資料には、歴史的な記録をそのまま用いるため、一部に『穢多』との記載があります。江戸時代において、えた、ひにん等と呼ばれていた人々は、武具、馬具や多くの生活用品に必要な皮革を作る仕事や、地域の警備を行うなど生活に欠かせない役割を担っていましたが、生活のすべての面で厳しい制限を受け、差別されていました。

 明治4年(1871)年に『解放令』が政府から出され、身分制度は撤廃されることになりましたが、社会的な差別はさまざまな形で続き、『えた、ひにん』等の語は、同和地区(被差別部落)の人々を差別する言葉として使われることがあり、当該地区やその住民に対する偏見や差別を助長する恐れがあります。

 墨田区は、人権尊重の普及啓発に積極的に取り組み、あらゆる差別の解消に努めております。作品は貴重な記録として展示しており、これらの表現を肯定・容認するものではありません。以上のことを御理解の上、御覧いただきますようお願いいたします。」と区の立場を明らかにしたものである。

 墨田区が解説文を明示して古地図を展示し、積極的に差別解消に努める姿勢を表明したことを高く評価したい。

 今回のように墨田区が古地図展示に当たり、関係団体と丁寧な相談を行なったことが大切である。