「復刻版」裁判控訴審の勝利に向けて
「全国部落調査」復刻版出版差し止め裁判控訴審第2回口頭弁論が2月1日、東京高裁で行なわれる。控訴審で勝利しなければならない課題は、①「全国部落調査」復刻版出版・公表の全面差止めを勝ち取る、②原告全員への損害賠償を認めさせる、③「差別されない権利」の侵害認定を勝ち取ることである。
東京地裁は、判決で、被差別部落の所在地の一覧表の公表は「結婚、就職等において差別的取り扱いを受けたり、誹謗中傷を受けたりする深刻で重大なもの」とし、禁止する必要性を認定した。
しかし判決は「全国部落調査」復刻版に掲載されている5000以上ある被差別部落を都道府県別に分けて、全体で41都道府県のうち、25都道府県に掲載されている被差別部落についてしか削除を認めず、16県を除外した。これは一部の都道府県については、裁判所自身が判断した「深刻で重大なもの」を裁判所自身が放置するという重大な矛盾がある。
第2回口頭弁論では原告、被告から意見陳述がされる。東京高裁は、差別がいかに人間の尊厳を奪うものか原告(被害当事者)の意見を聞き、東京地裁の判断の誤りを糾し、すべての県で、ウェブ掲載、書籍の出版、出版物の掲載、放送、映像化などいっさいの方法による公表を禁止する判断を社会に示す必要がある。
控訴審の勝利に向け全力で闘おう。
「部落探訪」ユーチューブ版の削除 しかし差別行為は継続
また、この裁判と結びつけ、「部落探訪」をはじめとするインターネット上の差別情報削除に向けたとりくみも重要だ。
昨年11月30日、「部落探訪」ユーチューブ版がほぼすべて(約200本)削除された。YouTubeを運営するGoogle社の広報部は「ヘイトスピーチに関するポリシー(ガイドライン)に違反した」とマスコミの取材に対して回答している。YouTubeが初めて「同和地区の識別情報の摘示」はガイドライン違反であることを公に示したことは大きな意義がある。
「部落探訪」YouTube版の削除要請は以前から多くの団体や個人、また地方自治体からもおこなってきた。グーグルがなぜこの時期にガイドライン違反を認定し削除に踏み切ったか明らかにされていないが、これまでの粘り強い削除要請の成果であり、11月中旬から取り組まれたABDARC (アブダーク)による28000人を超えるオンライン署名も大きな影響を与えただろう。
しかし、YouTube動画は削除されたが、2015年12月から開始されている画像と文章による「部落探訪」は削除されていない。また部落を暴く他の類似の動画も削除されていない。そして示現舎自身も新たにサイトを立ち上げ部落を暴く差別扇動動画を継続している。
SNS事業者の自主規制だけでなく、国は「部落差別解消推進法」を改正し、同様の行為を禁止する差別禁止規定を盛り込む必要があり、差別禁止法制定、人権委員会設置など総合的な法制度の確立が今こそ必要だ。