関東・東海を中心に8都県の被差別部落をグーグルアース上に色分けで示した「ファイル」をネット上で1000円前後で販売されている事件が発覚した。8都県とは、東京、神奈川、千葉、群馬、茨城、栃木、静岡、愛知である。東京は21区市に関係する108の部落が色分けされている。発信者の情報は明らかにされていない。
発信者は「部落マップ」の販売サイトと同時に、ツイッターとユーチューブのアカウントを取得している。ツイッターで部落マップの宣伝をし、ユーチューブでは「部落民の苗字」を配信している。ツイッターは2020年8月22日に開始し、途中、「違反報告」を受け一旦停止したがアカウント名を変えて再開している。「部落マップ」サイトも途中から「集落マップ」や「古代マップ」に表題を変更している。ユーチューブは9月13日に開始している。
「部落マップ」は、被差別部落の所在地リストを販売する行為であり、部落地名総鑑事件に匹敵する差別身元調査を誘発・助長する悪質な差別煽動事件である。
また、ツイッターでは「部落マップは全国部落調査と神奈川人権啓発センターを元に作成しています」(2020年8月22日)と書き込んでいる。神奈川人権啓発センターとは「鳥取ループ・示現舎」のユーチューブ・チャンネル名である。「鳥取ループ・示現舎」の影響を受けたものが同様の行為に及んでおり、「全国部落調査」復刻版や「部落探訪」の拡散と同時に差別者も増加している。差別煽動を規制する一刻も早い法制度の確立が望まれる。
更に、発信者は「集落」などと表題を変え、「部落差別ではない」と取り繕う点で示現舎の「部落探訪」同様に確信犯であり、決して放置してはならない。
都連は、まず、東京都、関係区市、東京法務局に削除要請を行なった。東京都と関係する21区市はすでに東京法務局に削除要請している。東京法務局の動きは不明だが、現時点でツイッターの書き込みも削除されておらず、都内の被差別部落出身者は不安な日々を余儀なくされている。
今後、関東ブロック各県連への取り組み強化を呼びかけるとともにツイッターなどへの違反報告を強め、削除に向けた取り組みを強めていく。また、発信者情報の取得とツイッター社などへの削除要請の取り組みも検討していく。
「部落マップ」以外にも被差別部落の所在地をグーグル・マップやグーグル・アース上に掲示している差別情報は多数存在する。確信犯的な差別行為が野放しにされる社会をつくってはならない。「部落マップ」差別事件に対する闘いを強化していこう。