異議申立却下し仮差押認可決定

不動産仮差押命令申立事件



 「全国部落調査」復刻版出版差し止め事件裁判に関連して、昨年4月5日、解放同盟は片岡中央副委員長を債権者にして損害賠償権の執行保全するために宮部が所有する不動産の仮差押え命令を横浜地裁相模原支部に申し立てた。「相模原支部」は昨年4月8日債権者の訴えを認め仮差押を決定した。これに対して債務者(宮部)は昨年12月19日に異議申し立てをおこなった。この異議申し立てに対して「相模原支部」は7月11日、債務者の異議申し立てを却下し仮差押えを認可する決定をおこなった。
 横浜地裁相模原支部は、決定文で次のように述べている。
 差別のない社会を築くためには、今後とも差別意識の表れとなるような言動や差別的言動を助長させるような出来事を排除する努力が必要だ。
 「全国部落調査」復刻版の公表は、現代において、かつての同和地区の所在地が広く知られることを意味する。それによって特定の個人が同和地区出身者もしくは居住者であるか否かを調査することを著しく容易にする。かかる機会の提供に伴い、特定の個人について同和地区出身者か否かの身元調査をしようとする動機付けや実際にそのような行動に出る者が増大し、そのような行動の繰り返しが、同和地区出身者や現に同地区に居住する者に対するさらなる差別意識の形成、増長、承継につながっていく。
 仮に、今現在は差別的取り扱いを受けるといった具体的な支障が生じたものでなかったとしても、そのような危険にさらされたということだけで、著しい苦痛や不安をともなうものであることは十分理解できる。その慰謝料額が200万であることは疎明されている。
 以上のような判断に基づき、相模原支部は仮差押の原決定を正当なものと認めた。