東京都との連絡協議会 相次ぐ差別事件を踏まえ教育・啓発の強化を  


同和問題に関する東京都との連絡協議会が2024年11月28日、都庁会議室で開催された。東京都は豊田総務局理事をはじめ8部局が、都連は飯塚委員長はじめ執行委員11名が出席し、2025年度人権関係事業予算の考え方について協議した。協議の主な内容は以下の通りである。

まず、2025年度の予算編成にあたっての基本方針について都は、今後も引き続き、「基本方針」、「東京都人権施策推進指針」、「部落差別解消推進法」、「東京都人権尊重条例」に基づき、同和問題解決に向けての取り組みを推進していくと答弁した。

最近発覚した都知事選挙での差別ポスター掲示事件、「ワイドナショー」で就職差別を助長する放映がされた件、X社の土地差別調査事件について、人権部、産業労働局、住宅政策本部からそれぞれ見解と再発防止策が述べられた。

5月に公布された「情報流通プラットフォーム対処法」(以下「情プラ法」)の施行に向けて総務省の「検討会」で「ガイドライン案」がだされている状況において、「同和地区の識別情報の適示」等を削除基準に盛り込むよう都から総務省に早急に要望していただきたいという質問に対して、都は、国の議論の動向を加味しながら決めていくため国への要望の時期や内容は検討中であるという答弁に留まった。都連からは、「情プラ法」を踏まえ、都内住民に対して法の周知、相談の充実、支援体制の確立について強く要望した。

労働対策では、近年の「AI面接」やインターンシップで収集した個人情報を採用活動に利用できるなどの採用環境の変化の中でも公正採用選考を担保すべきという要求に対して、都は、採用選考の方法が多様化するなかであっても、公正な採用選考が損なわれることがあってはならないとし、引き続き「求職者の個人情報の取扱い等」の周知・啓発に取り組んでいくと回答した。また、今年度から厚労省が大学生等を対象に実施している「公正な採用選考に係る調査」について、より多くの回答が得られるよう方策の確立について、産業労働局としてできる協力を検討していくと答弁した。

同和教育、人権教育の推進について、都内公立学校には人権教育推進担当が置かれているが、配置状況や推進体制はどうなっているのかという都連からの質問に対して、都教委は各学校の人権教育の推進を担う主幹教諭等を対象にした人権教育研究協議会を開催していると述べた。都連からは学校現場では「誰が人権担当なのかわからない」などの声も聞く、人権教育を推進する担当であるという自覚を促す研修を強化するよう要望した。また、私立学校の人権教育推進について、生活文化スポーツ局は、各学校において、人権教育は行われるべきと述べた。「こども基本条例」に基づく「こども未来アクション2024」でも「人権教育の推進」は掲げられており、私立学校における人権教育の在り方は重要課題である。