部落解放同盟東京都連合会

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人権擁護法案の抜本的修正を求める緊急アピール

            

 3月8日政府は、人権擁護法案を国会に提出しました。同法案は、部落解放基本法制定を求める取り組みのなかで出されてきたものです。周知のように、1996年12月に制定された「人権擁護施策推進法」は、部落問題をはじめとする日本社会に存在している差別と人権侵害を撤廃するために、人権教育・啓発の推進と人権侵害の被害の救済などを国の責務であることを明確に指摘するとともに、これらの取り組みの充実のために審議会を設置することを盛り込みました。さらにこの法律が衆・参両院の法務委員会を通過したさいの付帯決議では、5年を目処に人権侵害の救済などに関する「答申」を出すこと、これらの「答申」を受けた政府は、法的措置を含む対応をすることを求めていました。これを受けて、人権侵害の救済にかかわっては、2001年5月に人権擁護推進審議会から「人権救済制度の在り方に関する答申」、同年12月には「今後の人権擁護制度の在り方に関する答申」が出されました。これらの「答申」に関して部落解放基本法制定国民運動中央実行委員会としては、部落差別などの明確な差別禁止、法務省から独立した人権委員会の設置の必要性、すくなくとも都道府県や政令指定都市単位にも人権委員会を設置すること、独立した事務局を設置すること、人権擁護委員制度の抜本的な見直し等を求め、48000通ものパブリックコメントを集中してきましたが、3月の政府案には、この間要求していたことが全くといっていいほど盛り込まれていません。
 これまで包括的な人権救済法をもたなかった日本において、はじめて本格的な人権救済にかかわる88条で構成される同法案を今国会に提出しています。確かに同法案は差別や虐待等に代表される人権侵害の禁止を謳い、これら人権侵害の防止・救済を図るための機関として人権委員会を新設することを規定しています。
 しかしながらこの法案には、・それぞれの国での人権侵害救済の創設とそのあり方のための国際的な基準であるパリ原則(1993年国連決議、日本政府賛成)を踏まえていないことをはじめ ・「独立性の確保」が担保できていないこと ・「実効力ある救済機能」が疑わしいこと・さらには、報道の自由や民間団体の人権活動が法務省の恣意によって封じ込められる危険性があること等、これらの抜本的修正なくして受け入れることはできません。またこの法案は細部にわたっても様々な問題点を含んでおり、これらを改善しない限り、日本の人権確立の歴史に大きな汚点を残すものであり、国際的にも恥ずべきものであり、真に人権救済に役立つものとなり得ないといわねばなりません。
 本緊急アピール行動に参加した私たちは、国連のパリ原則にもとづく政府から独立した実効性のある国内人権機関の実現にむけ、法案の抜本的な修正を求めて断固闘うものです。

2002年4月23日

異議あり! 人権擁護法案緊急アピール行動参加者同

               

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