あらゆる差別の撤廃を目的に包括的な条例を
東京都人権条例案概要に対して要望書提出


 都連は、6月20日、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例案(仮称)」に関する要望書を東京都及び都民ファーストの会 東京都議団、都議会公明党、都議会立憲民主党・民主クラブに提出した。

 東京都は、6月4日、「条例案」の概要を公表した。概要では、①オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現、②多様な性の理解の促進、③本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消にむけた取り組みの推進の3本の柱が掲げられている。

 「目的」として「あらゆる人がいかなる種類の差別も受けることがなく」としながらも、具体的な対策としては「性自認や性的指向等を理由とする差別の解消」と「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」の2点しかあげられていない。「都民」からすれば重点人権課題はこの2つだけで、その他の課題は重要ではないという認識を与え、部落差別やアイヌ民族などに対する差別などは軽視されてしまうおそれがある。あらゆる差別の撤廃に向けた包括的な対策を打ち立てるべきである。

 「要望書」では、①オリンピック憲章に掲げられている「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的出身、財産、その他の身分などの理由によるいかなる種類の差別」や人種差別撤廃条約や障害者権利条約で明記されている「民族的もしくは種族的出身、出生、年齢、障害」に基づく差別を明記し、あらゆる差別を許さず禁止するという東京都の姿勢を明確にすること。②部落差別の解消を推進する法律を踏まえ部落差別の撤廃に向け、身元調査の規制、インターネット上の差別に対する「モニタリング事業」の創設などを実施すること。③「第三者機関設置」など「不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」にあたって、対象を「本邦外出身者」に限定せず、被差別部落出身者など被差別マイノリティを対象にすること。④「私たちのことを私たち抜きに決めないでください」といわれるように「人権に関する条例」の制定にあたって、被差別当事者団体の意見を聞く機会を設けること、などを掲げた。

 差別の現実に即し、国際人権基準に合致した、世界に誇れる条例になるよう取り組みを強めていきましょう。

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