ストレスからか?
異星人が地球を核攻撃、自分も死ぬ、これは映画ではなく、最近私が見た夢だ。生まれてから経験したこともない恐怖感を味わう毎日。新型コロナ感染症は全世界の人々を不安に陥れ、死者数も大災害並みだ。
私は脳性マヒで日常生活のほとんどで介助が必要だ。「もし感染したら、どうなるだろう」と毎日思いをめぐらす。
人々と触れ合うことによって理解を広げようとしてきた私たちにとってソーシャルディスタンスはきつい。
4月、団体の関係者の障害者が発熱したらしいが、PCR検査を受けられるようになるまで、4日ぐらいかかり、その後結果がわかるまで2日ぐらいかかったらしい。結局陰性だったとのことだが、結果がわかるまでヘルパーの介助を受けており、もし陽性だったら大変な事態になっていたのではないかと、彼は言う。
要望出す!
障害連は4月13日厚労大臣と東京都知事宛てに緊急要望を出した。
その1項目めに「障害者が発熱あるいは風邪の症状がある時などに、ヘルパー派遣の事業者は、ヘルパーの健康と安全に留意を払いながらも、その事を理由に一方的な派遣中止せず、常に利用者である障害者との協議を重ね、基本的な生活を保障していくこと」と訴えた。介助は生活するにあたって絶対必要だからだ。
これに対する厚労省の文書回答は「ヘルパー派遣を含む訪問系サービスについて、利用者に発熱等の症状がある場合であっても、十分な感染防止対策を前提として、必要なサービスが継続的に提供されることが重要である」だった。具体性には乏しいが私たちの要求に理解を示した。
2項目めは、私たちが入院した際は言語障害など障害特性を踏まえて対応をしてほしい、とした。
厚労省からの回答は「障害児者各々の障害特性等を踏まえて、予め受入医療機関の整備を行うこと等の対応をお願いしているところであり、引き続き適切に対応してまいりたい」ということで、「お願い」レベルの話で、実際は現場任せというニュアンスだった。
3項目めは、医療を受けやすくするための環境改善や、難病の人たちに対する配慮だった。
これに対して厚労省は、「感染法によって難病の人たちは公費負担となっているが、その申請だけのために病院に行かなくても済むようにしている」とのことで、私たちの要望とはずれる回答だった。
4項目めは「アメリカのアラバマ州などでは、『ダウン症、自閉症、脳性まひなどの障害のある人について人工呼吸器の補助の対象にならない可能性がある』というガイドラインが出されたという情報もある。生命の選別が行われないことを強く求める」とした。私たちは生存の危機を感じていた。まさにこれは„優生思想"そのものだ。
これに対して厚労省はまともに答えず、「人工呼吸器の量産をメーカーに語りかけ、その上で国内で感染者数が急増した場合に備えた医療提供体制の整備を進めていく」とした。幸い日本ではオーバーシュートに至らなかったが、もし感染者数が爆発的に増えたらと考えるととても恐ろしい。
面会制限も!
まだ生活施設や精神科病院で暮らしている人も決して少なくない。3月末、千葉県の障害者施設で集団感染が発生し、パニックになったというニュースは大きく報じられた。私の友人の何人かは生活施設で暮らしている。外出や面会も大きく制限されているようだ。
私たちは社会参加を求めてきた。しかしコロナ禍はその流れを逆行させてしまった。施設や病院を文字通り社会から隔絶させる。そして施設や病院の中で何が起きているのか、外から分かりづらくなってしまったのだ。
ポストコロナ社会は?
オンライン会議やテレワークなどは、障害者にとってプラスの側面となる。コロナ禍を切り抜ければ、新しい社会に生まれ変わる可能性について識者からも指摘されている。私たちの運動によってそれを確実なものにする必要がある。