部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会は、10月28日、日本教育会館で2021年度第1次中央集会を開催し、全国から432人が参加した。

　組坂繁之副会長・中央執行委員長の開会挨拶、葛西光義会長・高野山真言宗管長の主催者挨拶の後、基調提案と特別報告がおこなわれた。

　西島藤彦事務局長・中央書記長による基調提案では、部落差別解消推進法第6条に基づき実施された部落差別の実態に係る調査結果が2020年6月に公表され、結婚や交際などで部落差別が厳しく存在していることが報告されている。総務省はプロバイダ責任制限法を改正し発信者情報の開示の簡略化をすすめている。また法務省も「侮辱罪」に懲役刑などを導入する方向で法制審議会に諮問するとしている。しかし鳥取ループ・示現舎のような確信犯には対応できない。「パリ原則」に基づく国内人権委員会の創設を中心とした包括的な人権侵害救済制度の早期確立にむけた取り組みが必要だと提起した。

　特別報告①は片岡明幸中央副委員長が「全国部落調査」復刻版出版事件判決についておこなった。9月27日、東京地裁が判決を出した。少なくともプライバシー侵害で違法だとして差し止めを認めたことは勝利だ。しかし、差別されない権利を認めずプライバシー侵害に限定し、アウティングの権利侵害性や自己情報のコントロール権を理解していない。復刻版の差し止めについて25都府県に限定しているなどの問題があり、その是正にむけ10月11日に控訴した。控訴審では。出版の全面差し止め、インターネットからの一切の差別データ削除、原告全員への損害賠償、ミラーサイトの削除を求める。

　特別報告②は、橋本貴美男兵庫県連書記長が丹波篠山市による差別動画削除の取り組みについて報告をおこなった。丹波篠山市の被差別部落を暴いた差別動画はユーチューブ、ライブドアブログ、ニコニコ動画の3つのサイトで流された。この動画がモニタリングで発見され、2020年9月丹波篠山市長と自治会長が神戸地裁柏原支部に削除命令の仮処分を申し立てた。ユーチューブとライブドアブログは判決前に削除したが、ニコニコ動画は削除を拒みさらに仮処分を申し立て削除命令が出された。勝因としては部落差別を許さない市長の信念や自治会長が申立人になったことなどがあげられる。しかしニコニコ動画が削除を拒んだのは投稿者による損害賠償請求を恐れたからだと思われる。差別規制法が必要だ。