都内、首都圏で活動する被差別当事者団体のネットワーク組織である人権ネットワーク・東京(代表 八柳卓史 23団体6個人が加盟)は、6月5日、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例案(仮称)」(東京都人権条例)に関する要望書を東京都に提出した。
東京都は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催都市として、人権尊重の理念がより一層社会に浸透していくことを目的として、東京都人権条例を2018年第3回都議会定例会に提出する準備を進めており、6月4日付けで条例案の概要を発表した。
「条例案概要」では、①オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現、②多様な性の理解の促進、③本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消にむけた取り組みの推進がかかげられている。しかし、目的のところで、「あらゆる人がいかなる種類の 差別も受けることがなく」といいながら、性的マイノリティと本邦外出身者の対策しか明記されていないという根本的な問題がある。
私たちは、「条例案概要」が発表されたこの段階において、差別や人権侵害の実態と国際人権基準を踏まえた条例となるよう下記の点を東京都に要望した。(以下、要望要旨)
①オリンピック憲章や人種差別撤廃条約、障害者権利条約で明記されている差別も含めた、あらゆる差別を許さず禁止するという東京都の姿勢を明確にしていただきたい。②重点的に解決すべき人権課題として、在日韓国・朝鮮人差別、移住者に対する差別、アイヌ民族に対する差別、女性差別、障がい者差別、性的マイノリティに対する差別、被差別部落出身者に対する差別(部落差別)、野宿者(ホームレス)に対する差別、ハンセン病回復者に対する差別、婚外子差別を明記されたい。③「人権に関する条例」の制定にあたって、被差別当事者団体の意見を聞く機会を設定されたい。
④あらゆる差別の撤廃に向けた「基本計画」を策定していただきたい。⑤「人種差別撤廃条約」等国際人権基準を踏まえ、差別扇動など差別主義に基づくり活動等に対して「犯罪」であると規定し罰則規定を含む規制措置を計っていただきたい。⑥「人権条例」の推進、具体化にあたって、「被差別当事者団体の意見を聞く機関」を設置していただきたい。また、「第3者機関の設置」にあたっては、その委員等に必ず被差別当時者をいれていただきたい。