INDEX > 人権問題

「東京都人権施策推進指針」の今日的見直し

民主党伊藤まさき議員が質問

  2010年3月18日、都議会総務委員会で、民主党、伊藤まさき議員が、「東京都人権施策推進指針」の今日的見直し要求について、質問しました。答弁に立ったのは、総務局人権部 荒井人権部長。


東京都議会総務委員会速記録第五号

2010年3月18日


伊藤委員 私からは、東京都の人権施策についてお伺いをいたしたいと思います。
 一九四八年、国連総会で、世界人権宣言が採択をされました。その中に、すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等であるとの規定がございます。
 国でもさまざまな施策を展開しているところでございますけれども、都でも、人権施策を総合的に推進するための指針ということで、平成十二年に東京都人権施策推進指針が策定されておりますが、この指針の策定の背景、理由などについてお伺いいたします。
荒井人権部長 指針につきましては、平成九年に、国が、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画を定め、今後、人権教育の推進等に取り組むこととした上で、地方公共団体に対しても行動計画の趣旨に沿った取り組みを求めたことを受けまして、都における総合的な人権施策のためのガイドラインとして策定したものでございます。
 策定に当たって、東京都は、平成十一年に人権に関する世論調査を行うとともに、学識経験者による専門懇談会を設置し、一年近くにわたる議論を経て懇談会からの提言を受けた後、都民や関係機関等からの意見、要望等を踏まえ、平成十二年十一月に東京都人権施策推進指針として定めたものでございます。

伊藤委員 指針策定以降十年間がたっておりますけれども、都では、この間どのように人権施策に取り組んできたのか。また、取り組みの成果はどうであったのかお伺いいたします。
荒井人権部長 指針においては、東京都が推進する人権施策の基本理念として、人間の存在や尊厳が脅かされることなく、自らを律する自立した個人が、権利行使に伴う責任を自覚し、共存と共感で相互に支え合い、都民が世界に誇れる東京をつくると定めています。
 都では指針策定以降、この基本理念に基づき、その後の社会状況等に応じながら人権施策の推進に取り組んでまいりました。
 具体的には、指針に掲げる女性、子ども、高齢者、障害者などの各人権課題について、各局がそれぞれの施策体系のもとで必要な施策を実施しています。
 例えば総務局では、人権問題全般や同和問題、アイヌの人々に関する普及啓発を行うとともに、犯罪被害者等のための総合相談窓口の設置などの支援事業に取り組んでおり、東京都としては、各局の取り組みのもと、各事業が着実に推進しているものと考えております。

伊藤委員 総務局並びに各局でさまざまな施策が展開されて、成果が上がっているというご答弁でありましたけれども、しかしその一方で、この指針に定義づけをされております人権推進本部会議が一度も開催をされていないということで、一部、批判の声もあるということもつけ加えておきたいと思います。
 それで最後に、現行の指針策定から十年間が過ぎております。十年一昔という言葉がありますけれども、この十年間の中で、例えばハンセン病回復者であったりとか、婚外子差別の問題であるとか、ホームレスの問題などが近年大きくクローズアップされております。
 国でも、例えば二〇〇二年にホームレス自立支援法、二〇〇四年にはDV防止法、さらには、二〇〇九年にはハンセン病問題基本法など、さまざまな人権施策が国において行われてございます。
 東京においても、本当にさまざまな人権問題が生じているところでありますけれども、現行の指針について、この間の状況の変化を踏まえ、大きく見直すべき時期に来ているのではないかと考えますけれども、ご見解を伺います。
荒井人権部長 現行の指針策定からことしで十年が経過するものの、指針に定める基本理念は普遍的であり、現在もなお有効なものと認識しております。また、指針に基づく個々の事業については進行管理を行って、社会状況等に応じた施策の見直しを実施しているところでございます。
 しかしながら、指針については、国における人権施策の取り組みや東京における人権問題の状況など、社会状況の大きな変化があった場合には見直しを検討すべきであると考えております。
 現在、国においては、人権侵害に対する救済制度に関する検討がなされていると聞いています。このように、国における制度が大きく変わる場合には、都の人権施策にも大きな影響を及ぼすことが想定されます。このため、都としては、引き続きこうした国の動向などを十分に注視してまいります。

伊藤委員 社会状況に大きな変化があった場合には見直しを検討するというご答弁でありましたけれども、国の大きな施策の展開の中で、ぜひとも時宜にかなった対策をやっていただきたいと思いますし、この指針の文章の中に、人権施策は、長期的な視点に立ち持続的に取り組んでいきますが、五年を目安に、施策の見直しを行いながら進めますという文言がございます。
 施策を変えていただくのも非常に重要なんですけれども、やっぱりこの指針にきちんと盛り込んでいくということが、まさに、都内外に対して東京都が人権施策をきちんと進めているという、私は大きな例証になるかというふうに思いますので、ぜひともご検討いただきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 

部落解放同盟東京都連合会
http://www.asahi-net.or.jp/~mg5s-hsgw/