都連は8月29日、東京法務局に要望書を提出し交渉を持った。東京法務局からは人権擁護部横山第1課長、東海林第2課長らが、都連からは飯塚委員長はじめ各支部から7名が参加した。都連からは、部落差別撤廃に向けた東京法務局の基本方針、インターネット上の差別事件の根絶に向けて、差別身元調査の根絶にむけて、部落差別撤廃にむけた啓発、研修などについて要望し、東京法務局は各要望事項に回答した。
「基本方針」について東京法務局は「これまで『部落差別(同和問題)を解消しよう』を啓発活動強調事項の一つとして各種人権啓発の活動を実施するとともに人権侵犯事件として事案に応じた適切な措置を講じてきた。引き続き『部落差別の実態に係る調査結果報告書』において明らかになった部落差別の実態を踏まえ、啓発、相談、調査救済等各方面から取り組んでいく」と回答した。
東京法務局が2023年中に取り組んだ「人権侵犯事件」のうち「差別待遇 同和問題に関するもの」の取扱件数は51件(昨年50)だった。その内、処理件数は37件(昨年48)で、処理の内訳は、説示32件、要請2件、援助1件、啓発1件、侵犯事実不明確2件だった。処理件数37件の内、36件はインターネット上の人権侵害に対するもの。都連から実際にどれくらい削除されているのかという質問に、東京法務局は全国的にはここ3年間で削除率69%と回答した。ただ、東京法務局管内の削除率は明らかにされず、事実、部落探訪をはじめ区市町村から出されている削除依頼案件については結果的に削除されず拡散し続けており、削除に向けた更なる取り組みの強化を求めた。
また、削除されない現実を踏まえ区市町村から東京法務局の取り組み経緯について問い合わせがあった場合、説示した、要請したなど処理内容を伝えるなど適切に対処すると回答。
さらに、インターネット上の人権侵害情報への積極的対応に関わって、法務局だけではなく、都区市町村など地方自治体でもプロバイダやSNS事業者へ削除要請できる、そのことによってより削除要請に重みがでると都区市町村へ適切な対応を促しているとの回答があった。
都知事選挙掲示板を悪用した差別ポスター掲示事件について、東京法務局は、個別案件については述べられないが、一般論として、選挙運動等に藉口(しゃこう)した不当な差別的言動や人権侵害の被害申告等があった場合には、人権侵犯事件調査処理規程に基づき対応すると回答した。