都連は8月29日、東京法務局に要望書を提出し交渉を持った。東京法務局からは人権擁護部青木第1課長、東海林第2課長らが、都連からは飯塚委員長はじめ各支部から9名が参加した。都連からは、部落差別撤廃に向けた東京法務局の基本方針、インターネット上の差別事件の根絶に向けて、差別身元調査の根絶にむけて、部落差別撤廃にむけた啓発、研修などについて要望し、東京法務局は各要望事項に回答した。
「基本方針」について東京法務局は「これまで『部落差別(同和問題)を解消しよう』を啓発活動強調事項の一つとして各種人権啓発の活動を実施するとともに人権侵犯事件として事案に応じた適切な措置を講じてきた。引き続き『部落差別の実態に係る調査結果報告書』において明らかになった部落差別の実態を踏まえ、啓発、相談、調査救済等各方面から取り組んでいく」と回答した。
東京法務局が2022年中に取り組んだ「人権侵犯事件」のうち「同和問題に関するもの」の取扱件数は50件だった。その内、処理件数は48件(説示42件、要請5件、侵犯事実不明確1件)で、すべて、インターネット上の差別事案だった。48件に対して「説示」などの措置がされたが、すべて削除されたわけではなく、削除されないまま「処理扱い」されている案件も多い。実際に「部落探訪」など都連からの削除要請については削除されていない。東京法務局はこの事態について、現行の規定の中で、できることはすべてやっていきたいが限界があると答弁した。都連からは、削除されるまで何度でも継続した削除要請が必要であると訴えた。また、限界を制度的に突破するために包括的な差別禁止法の制定を強く要求した。
戸籍謄本等不正取得事件にかかわって、東京法務局は、司法書士の職務上請求書の不正使用に係る調査は、個々の具体的事案に応じて行われるものであり、一概にどのような調査を行うのか事前に決めるのは困難であると回答した。この回答は「本人通知制度」を導入している区市が、「本人告知の時期(不正取得されたと判断したとき)」について「法務局又は東京都が発する職務上請求用紙の不正使用があった旨の通知」をあげているが、不正使用の全容解明が約束されたものではないということを意味しており、本人通知制度の効果的な運用に大きな課題を投げかけるものとなった。