都連は8月21日、東京法務局に要望書を提出し交渉を持った。東京法務局からは人権擁護部佐藤第1課長、青木第2課長らが、都連からは藤本委員長はじめ三役が出席した。
都連からは、法務省が実施した実態調査報告書、東京法務局が取り扱った差別事件、インターネット上の差別の撤廃、東京法務局が実施する啓発、研修等について要望し、東京法務局が各要望事項に回答した。
「実態調査報告書」についての見解と今後の方向性について東京法務局は、「同和問題、部落差別の解消は強調事項として啓発を実施してきた。また、人権侵犯事件として事案に応じて適切な処置を講じてきた。実態調査で明らかなように部落差別の実態があるのでそれを踏まえて、施策の在り方を検討しながら今後も実施していく」と回答した。
また、現状では国の施策で差別に対処できるのは人権侵犯事件処理規程しかないが、ネット上の差別について、削除されない事件が増えている。この現状を踏まえ今後どう対応するのかという質問に対して、「一般的に、ネット上では差別が拡散され、消しても消しても増える状況がある。法務省の指示、規定の中で、プロバイダー等に削除要請するなど出来ることはやりつくしている。しかし削除の最終判断はプロバイダー等にあるので、啓発などを粘り強く取り組んでいく」と人権侵犯事件処理規程の限界を認めつつ粘り強い啓発の実施という回答に留まった。
さらに、都連からは、相談を受ける職員等の研修についてフィールドワークなど現地研修を行なうこと、「実態調査報告書」ではインターネット対策として「積極的に対応する」と今後の方向性を示しているので、従来の対策に加えた積極的な新たな対応を行なうこと、都内で発生した差別事件について相談に応じることなどを要請した。
この要請に対して、実態調査でも表れているように結婚や交際の差別事例が発生している。ネット上の案件について識別情報の摘示や差別的言動については今後も引き続き適切に対応していく。また差別案件についての相談については今後も応じていくと回答した。