都内初 台東区でモニタリング事業開始
 墨田区、荒川区も実施を表明


台東区は2月5日、でインターネット上の差別事件に対するモニタリング事業を開始した。都区市町村では初となる。正式の事業名は「特定電気通信による侵害情報対応」事業。台東区の被差別部落は、この間、示現舎による「部落探訪」(ユーチューブ版含む)やウルトラ宅建の土地差別調査煽動動画(ユーチューブ)、ヤフーニュースへの差別コメントなどによって差別的に暴かれ晒されてきた。

このような事態を受け台東区では2019年からテスト・モニタリングを実施し対応方針を検討してきた。そして検討を終え、マニュアルを作成し正式に事業化された。

マニュアルでは、①特定電気通信(プロバイダ責任制限法に基づく)による情報の流通により権利が侵害される恐れがある場合の対応を定めるとし、②「権利の侵害」とは東京都人権施策推進指針に掲げる人権課題の内、台東区または台東区民にかかわる権利の侵害。③権利侵害情報の調査は、インターネット検索と庁内、区民、関係機関等からの情報提供による。④人権侵害が生じているおそれがある情報について、東京法務局に調査要請する。また東京都に報告し情報共有する、といった内容になっている。

台東区自らがプロバイダ等に削除要請する仕組みではなく、東京法務局に調査、削除依頼する形になっており、実際に削除されるかどうかは、東京法務局とプロバイダやSNS事業者、サイト管理者とのやりとりに委ねられている。しかし、台東区は追跡調査を行ない、調査依頼件数や削除件数など集計表をまとめるとしている。

モニタリング事業は、インターネット上の差別や人権侵害を規制する法律がない中で、実態を把握し、削除要請を行なう事実上の人権救済事業であり、現在、全国に広がりつつある。また、削除要請しても削除されないケースも出ている中で、法改正の必要性などの根拠となるものでもある。

都内では、台東区の他に墨田区、荒川区が試行的実施を行なっている。都内区市町村に拡大し、ネット上の差別の撤廃に向けた取り組みを前進させよう。