差別意識の悪化、削除されない差別情報を踏まえた対策強化を
同和問題に関する東京都との連絡協議会


同和問題に関する東京都との連絡協議会

 同和問題に関する東京都との連絡協議会が4月25日、都庁会議室で開催された。東京都は豊田総務局理事をはじめ8部局が、都連は飯塚委員長はじめ執行委員13名が出席し、基本方針、人権に関する都民意識調査結果、ネット対策、土地差別調査事件、統一応募用紙性別欄削除要求、就職差別撤廃要求などについて協議した。

 部落差別撤廃に向けた「基本方針」について東京都は、部落差別解消推進法、東京都人権尊重条例、東京都人権施策推進指針に基づき、引き続き同和問題の解決に向けた取り組みを推進していくと回答した。

 今年1月に公表された「人権に関する都民意識調査」の結果について人権部は、「同和問題を知らない」が前回調査から増加、また、「同和地区の人との結婚」に関する設問では「結婚する」が減少、更に、同じ設問で「わからない」という回答は増加したとし、「わからない」との回答が多い18歳から30代にスポットを当てた啓発が必要、また、インターネット等を活用した取り組みを充実させることが重要だと今後の啓発の方向性を述べた。

 インターネット上の差別情報に対する対策については、⓵東京法務局への削除要請、②総務省、法務省への対策強化要求、③SNS相談窓口の開設や安心ネットづくり協議会の活用と従来通りの回答に留まった。都連からは、「部落探訪」の他にもその模倣、類似の情報が溢れており何年間も削除されず、差別情報は日々拡散し続けていることを踏まえた実効性ある都の対策を強く要求した。

 昨年9月に発覚した都内不動産会社による土地差別調査事件について住宅政策本部は、「重大な問題である」とし、都内業界団体に対して社内研修への資料提供など人権啓発の強化、東京都宅地建物取引業法事務処理要綱の改正、研修効果を確認するアンケート等の実施について手法を含めて検討すると答弁した。

 「統一応募用紙」の性別欄問題にかかわって、人権部は「第2期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」における行政文書の性別欄記載方針にそって、都職員の採用試験選考において性別欄の記載は廃止している。また、都教委も教員採用選考及び都立高校の入学願書から性別欄を削除したことが報告された。

 東京都全体が性別欄廃止の方向に動いているにもかかわらず「全国統一応募用紙」が性別欄を残していることについて都教委は「全国高等学校統一応募書類」は文科省、厚労省、全国高等学校校長協会の協議で定められており引き続き国の動向を注視していくと都全体の方針と矛盾する回答に留まった。

 公正採用選考の確立と就職差別撤廃に向けた要求に対して、産業労働局は、①「就職差別解消シンポジウム」の開催をはじめ6月を「就職差別解消促進月間」と位置付け集中的に普及啓発に取り組んでいる、②採用選考でのAIの活用やSNS・裏アカウント調査について公平性が担保されない場合や思想や信条などの採用選考に必要でない情報の調査を行っている場合は問題がある、③調査業界に対しても差別につながる身元調査を行なわない注意喚起について働きかけていると回答した。