人権尊重条例、ネット対策、教育、労働等を協議
同和問題に関する東京都との連絡協議会


同和問題に関する東京都との連絡協議会

 同和問題に関する東京都との連絡協議会が4月19日、都庁会議室で開催された。東京都は川上総務局理事をはじめ9部局が、都連は飯塚委員長はじめ執行委員13名が出席し、人権尊重条例、インターネット対策、統一応募用紙の性別欄、「裏アカウント調査」問題、給水停止問題、「In‒Mates」上映中止問題などについて協議した。

 まず、「東京都人権尊重条例」については、「差別禁止条項」を設けるよう改正し、差別の撤廃に向け都ができる最大限の措置として行政手続条例に定める「勧告措置」など行政指導を実施すべきではないかと質問し、都は「東京都人権尊重条例」で記載されている「いかなる種類の差別も許されない」は、「差別はしてはならない」という禁止事項と同意である。行政指導については一般論として可能性として否定されるものではないと回答した。

 インターネット上の差別事件に対する対策としては、①インターネット利用者に対する啓発、②悪質な差別書き込みについては東京法務局に削除要請、③2016年度以降毎年度総務省、法務省に対策強化を要望、④今年度からSNSを活用した相談窓口の設置を予定していると答弁した。都連からは、相談窓口を設置するということだが、都には相談案件を解決する制度があるのだろうか。今後、相談状況を踏まえて都独自の救済対策を講じるよう要望した。

 教育対策では、都立高校で使用している統一応募用紙から性別欄を削除すべきではないかと質問した。都教委は、全国高等学校統一応募書類は文部科学省、厚生労働省、全国高等学校校長協会の協議により定められているので引き続き国の動向を注視していくと都の責任を放棄する答弁をした。都連は、都は都立高入学願書や教員採用試験申込書から性別欄を削除している、性別欄見直しは東京都全体の方針であり都教委も人権の姿勢を貫くよう強く要望した。

 労働対策では、近年の採用選考において、応募者に対して、事業所によるSNS調査や事業所の依頼によって調査会社が裏アカウント調査と称した実質的な身元調査をおこなっていることについて、都の見解と今後の方針を問うた。産業労働局は、実態が不透明であるため違法性を判断することは難しいが、調査内容の中で採用選考に必要のない情報を調べている場合は問題がある。都としては東京都調査業協会、日本調査業協会、全国調査業協会連合会へ就職差別解消シンポジュウムへの参加を働きかけるなど就職差別解消に向けた取り組みの周知徹底を図っていくと回答した。

 生活困窮者対策としては、今年度に入ってから水道料金未納者に給水停止措置が急増していることに対して安易に給水を停止しないように要望した。都水道局は、郵送で複数の催告を行い、その上で職員が訪問し、その過程で個別の事情を考慮したうえで、支払期限の延長や分割払いなどきめ細かな対応をしていると回答。この回答に対して、現場ではそのような対応になっていない。きちんと現実を把握すべきだと要求した。

 最後に、人権プラザ企画<「In‒Mates」上映+トーク>を人権部が中止した問題に関係して、いくつか重要な点について質問した。1つは、「In‒Mates」でも触れられている朝鮮人大虐殺の事実認識について。人権部は関東大震災時の朝鮮人殺傷事件について史実として教科書や中央防災会議の報告書にも掲載されているものと認識していると回答し歴史的事実であることを確認した。2つ目は、「In‒Mates」が在日コリアンの精神障がい者という複合差別を扱っていることについて人権部の複合差別に関する認識を問うた。人権部は、複合差別は許されないものだと考えている。また、重要な課題であり、必要に応じて企画等々について考えていきたいと答弁した。3つ目は「In‒Mates」の作者に対してきちんと中止理由について説明すべきではないかと要望し、人権部は要望書を受け取っており対応を検討しているところだと回答した。4点目は、今年は関東大震災・朝鮮人大虐殺100年であり、この節目の機会に強まりつつある在日コリアンに対する差別の現実を踏まえ、在日コリアンに対する差別意識を解消する正しい歴史認識と差別を許さない啓発を都が率先して発信すべきではないかと要望し、人権部は、それぞれの外国人の様々な事情を考慮しながら啓発を考えていきたいと回答した。