同和問題に関する東京都との連絡協議会が昨年11月28日、都庁会議室で開催された。東京都は川上総務局理事をはじめ9部局が、都連は飯塚委員長はじめ執行委員11名が出席した。
差別の現実に対する認識とそれを踏まえた部落問題解決に向けた方針について、都は「同和問題の解決は重要な課題である」「東京都人権施策推進指針、東京都人権尊重条例、部落差別解消推進法に基づき取り組みを推進していく」と答弁した。
一昨年8月に発覚した栃木県の行政書士による戸籍謄本等不正取得事件にかかわって、差別身元調査を禁止するキャンペーンの強化要求について、都は「これまで啓発冊子、チラシ等で啓発してきた。今後はインターネット広告の活用など手法、内容、実施時期などについて工夫する」と回答した。
同様に昨年発覚した都内の「一級建築事務所」による土地差別調査事件にかかわって、都は事業者に啓発を行うとともに、本事案が「施設開設に向けたマーケット分析のための事前調査として土地調査をおこなった」とし日本マーケティングリサーチ協会や日本広告業界に啓発を行なっていくと再発防止策を述べた。
インターネット上の差別事件に対する対策として、都は、これまで総務省、法務省に対策強化を要望してきたが、国等からの削除要請が実際に結びつくよう、プロバイダ等が削除した場合の賠償責任の免責についても国への要望事項に加える。また、「差別発言・誹謗中傷」「なりすまし」「個人情報書き込み」を柱とした動画を新たに作成すると答弁した。
「8050世帯問題」の相談窓口体制と具体的対策について、都は、「東京都ひきこもりサポートネット」において地域の実情に応じた連携づくりを支援していると回答した。
都立学校の全教員を対象とした部落問題に関する校内研修の実施状況について、都教委は、「人権教育プログラム」に校内研修事例を掲載し人権教育研究協議会等で活用を促している。今後も様々な機会をとらえて校内研修の内容等を把握すると答弁。また、人権教育推進担当の設置状況について、都は具体的な数字等は説明しなかったが、「人権教育の推進体制を整備することの大切さ等について周知している」「学校が組織的・計画的に人権教育に取り組むことができるようにしていく」と答弁した。さらに、全国高等学校統一応募書類の性別欄についてジェンダー平等やセクシュアルマイノリティへの差別をなくす観点からどのような指導をしてるのかという質問に対して都教委は「性自認等に関する悩みをもつ生徒に対して性別欄への記載の在り方などを含めきめ細かな対応ができるよう学校の取り組みを支援していく」と回答した。都連からは改めて統一応募用紙の「性別欄」の削除を求めた。
就職差別撤廃に向けた取り組み強化について、都は東京労働局と連携し「就職差別解消シンポジウム」の開催、東京労働局作成の「CSR公正な採用選考のリーフレット」の企業への配布など公正採用選考について周知する取り組みをおこなっていると回答した。最後に都連から、皮革産業における工業用水廃止に伴う上水道への切り替えにあたって利用者の声を聞きながら、経営断念につながらないよう検証を重ねていくよう要望した。
さらに、東京都人権プラザ展示室企画展の付帯事業である飯山由貴さんの映像作品「In―Mates」を上映しない決定を人権部がしたことについて、「In―Mates」は、人権部が言う「企画展の趣旨にそぐわない」作品ではない。人権部は認識を改め、この企画を実施するよう都連として強く求めた。