差別事件の再発防止策や教育、産業、労働等を協議
同和問題に関する都との連絡協議会


同和問題に関する東京都との連絡協議会

 同和問題に関する東京都との連絡協議会が11月20日、都庁会議室で開催された。東京都は箕輪総務局理事をはじめ9部局が、都連は藤本委員長はじめ執行委員14人が出席した。

 差別の現実に対する認識とそれを踏まえた人権政策推進の方針について都は「同和問題の解決は重要な課題である」「東京都人権施策推進指針、東京都人権尊重条例、部落差別解消推進法に基づき取り組みを推進していく」と答弁した。

 また、インターネット上の差別の現実に対する見解と対策について、「大変深刻な問題であり、その拡散を防止していくことが重要である」とし、対策として①啓発、②東京法務局に対する削除要請、③実効性のある統一的な取組を国に求める要望活動の3点を述べた。都連からはモニタリング事業の実施を強く要望した。

 「人権に関する意識調査」の実施について都は「直近では2013年に実施した。」「今後も状況に応じて都民の人権に関する意識調査を行なう予定である」と答弁。

 「ウルトラ宅建」による土地差別調査を煽るユーチューブ動画の削除に向けた取り組みについて都は「現在も閲覧できる状態でありその視聴回数も増えている。今後、東京法務局への効果的な削除要請について文書によるものも含めて検討し粘り強く働きかけていく」と回答。

 「京都府南丹市への問い合わせ事件」について「都内の夫婦が結婚差別につながる身元調査を行なった」「同和地区とされる地名がインターネットによりだれでも閲覧できる状態であること」「夫婦の転居に際し区役所に勤務していたとする妻の姉が転居先の土地を調べたこと」の3点は差別につながる問題と見解を述べ、人権施策推進都区連絡会等で本事例を共有する等の再発防止策を述べた。都連からは重大な結婚差別事件であり再発防止策については継続して協議していくことを要望し都は了解した。

 教育対策では隔年制作の人権学習教材ビデオに関して、2022年に水平社創立100年を迎えることを踏まえ、被差別当事者が差別と闘ってきた歴史に焦点をあてたビデオの企画制作を要請。同和教育実践の具体的内容に関して部落の子どもたちが自尊感情を持てる実践の豊富化を要請し、都教委は意見を参考にして充実を図ると回答。さらに教員研修の充実に向けて、人権教育研究協議会の研修時に行なわれているアンケートの分析結果を有効活用して研修の充実を図っていくとした。

 皮革関連産業対策について、工業用水道事業廃止、TPP、ERAの締結、豚コレラ問題等厳しい環境の中での支援策要求について産業労働局は「中小企業の経営改善・強化を図るため今後とも様々な支援策に取り組む」、水道局は工業用水道事業廃止にともなう支援策について「利用者支援について継続的な検証を重ね経営断念につながらないよう丁寧な対応に努める」とそれぞれ回答した。

 労働対策では採用時の公正採用選考の周知の推進などを要請、産労局からは推進する等の回答があり、新たに経済団体の広報媒体等も活用することで比較的小規模な事業所へ公正な採用選考の更なる推進に取り組むと回答があった。