人権条例の課題とし 部落差別撤廃に取り組む
同和問題に関する都との連絡協議会


 「同和問題に関する東京都との連絡協議会が11月21日、都庁会議室で開催された。東京都は箕輪総務局理事をはじめ9部局が都連は藤本委員長はじめ執行委員15人が参加した。

 「東京都人権条例」と部落差別を含むあらゆる差別撤廃との関係についての質問で、条例の第1条では「いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念が広く都民等に浸透した都市となること」が目的とされており、この「いかなる種類の差別」には、同和問題を含む「東京都人権施策推進指針」で掲げる17の人権課題も含まれていることが確認された。

 「部落差別解消推進法」の周知徹底について、都は、本年度はチラシ(40000枚に加えポスター550枚を作成し庁内(会議等で)、区市町村、都民(イベント等で)に周知を図っていると答弁した。都連からは、ポスターは一区市町村に5枚程度の配布でどう周知するのか、また、チラシやポスターの文面には「同和問題(部落問題)」とあり、法律にのっとり、「部落差別」「部落問題」と記載を改めるべきではないかと追及し、継続論議となった。

 「部落探訪」差別事件について、都は「同和問題に関する差別を助長するおそれのあるものである」と認識を示し、今年4月東京法務局に口頭で削除要請依頼をおこない、10月18日に文書で削除要請をはじめ差別解消に向けた実効性のある対策を講じるよう要望したこと、また、部落探訪への対応について法務省に要望する予定でいると回答した。

 「インターネット上の差別事件に対するモニタリング事業」の創設については、「今年度他の自治体から都道府県を対象に調査を実施した。この自治体から調査結果の概要をヒアリングし現在分析しているところである」と回答した。その分析を踏まえ今後のあり方について協議していくこととした。

 学校教育においては「部落差別解消推進法」「東京都人権条例」をふまえた都教委の基本方針を確認し、すべての教員が部落問題に対する正しい理解と認識を深め、学校全体として組織的に取り組むための具体的対策を明示することを要請した。都教委は、差別解消に努力してきた人々の姿に共感できる人権教育が図られていくよう指導していくこと、そのために、管理職や主幹教諭等を対象とした人権教育研究協議会において周知し、組織的に着実に実践できるよう支援していくと回答した。

 工業用水道の廃止にともなう皮革関連業界に対する支援策について、水道局は、「利用者の意見を聞きながら、社会経済情勢等を踏まえ、経営断念につながらないように検証を重ねていく」と基本認識を示した。

 公正採用選考の確立にむけては、企業が採用時に行政の公正採用選考のチラシを求職者に配布して法令遵守の啓発が推進できるように都の企業啓発を充実するように要請した。都産労局総務部長からは都内の30人以上の企業36000社に対して啓発冊子「採用と人権」配布時に周知し、数年かけて工夫して周知させていくと回答があった。

 最後に、「お肉の情報館」の来館者の増加など役割が増している現状を踏まえ、土曜日開館を検討するよう要望した。