悪質な差別事件の解決に向けて東京都の行政責任を追及
同和問題に関する都連との連絡協議会


連絡協議会

 同和問題に関する都連との連絡協議会が、11月30日、都庁会議室にて開催され、東京都は箕輪総務局理事はじめ8部局、都連は執行委員13名が参加した。

 「協議会」は、会長でもある箕輪総務局理事及び都連長谷川委員長の挨拶を受け、都連から2018年度事業要求書の概要を、また都から2018年度事業予算の説明がされ、その後質疑に入った。

 部落解放行政の基本に関わって、部落差別の完全撤廃にむけ、都の責務として、当事者と連携しながら、全庁的に推進していくことを改めて確認した。しかし部落差別解消推進法の具体化にむけた明文化された新たな「基本方針」の策定については、「国との役割分担もあり、まず国の説明を聞き・・」と回答を避けた。

 「人権プラザ」の移転問題にかかわっては、都は「同和問題の解決に向けた機能を現地域に残すことを検討する」という方針を示しており、その検討状況について以下の答弁があった。相談機能については、見直しをおこない同和問題に関する専門相談事業を創設する。展示機能については、常設展示施設を残すことは難しく現在検討中である。活動交流機能は、一般施設を活用していただく(事実上廃止)。この答弁は(「プラザ移転」)は、これまでの都の「同和対策」から明らかに後退する内容であり、部落差別解消推進法制定の趣旨にも逆行するものである。

 次に、具体的な差別事件をどう解決していくのかが行政の責務であり、インターネット上の差別事件である「ヤフーニュース差別コメント事件」や示現舎の「部落探訪」について都の見解と対策を問うた。人権部長は、悪質で深刻な差別であり、同和問題解決を妨げる看過できない重大な問題であるとし、行政ができる最大限の取り組みをおこなう、と答弁した。

 大手不動産会社による土地差別調査事件について、都市整備局は「同和問題に対する無理解や偏見に基づく重大な問題である」とし、「物件が同和地区かどうかを調査する行為は明らかな差別行為であり、都として顧客等から土地調査の依頼があった場合に依頼者に対して、そのような行為が差別行為であることを説明し、理解を求めることなどを心がけるよう宅建業者の意識を更に高めていくことが重要」と見解を示した。

 「全国部落調査」復刻版出版事件について、人権部は、「差別を助長し、誘発する深刻な問題」であると認識を示し、特に未組織部落が多い多摩に対する対策について、関係する市町村と情報共有と市民等からの問い合わせ対応などについて意思一致をはかる場をもったと答弁し、また、そのような場は1回だけではなく、継続しておこなっていくことを確認した。

 その他、プラザ移転にともなう新たな就労相談場所について、学校教育における「人権教育プログラム」について、私立高校での公正採用選考の取り組みについて、都立皮革技術センター台東支所の展示室の改善について、それぞれ協議した。